以下が本日の市場で注目の3ポイントだ。
1. 小売売上高、失業保険受給申請数、フィラデルフィア連銀製造業PMI、鉱工業生産
米国経済の基盤である消費支出が引き続き堅調を維持しているかどうかを確認するため、7月の小売売上高へ注目が集まっている。
米商務省は、日本時間午後9時30分に小売売上高を発表する。
市場予測平均では、小売売上高は0.3%増へ減速し、自動車の売上を除いたコア小売売上高は変わらず0.4%増となる見込みだ。GDP計算に大きな影響を与える小売売上高コントロールグループ(食品、自動車、建材、ガソリンを除いた調整済み小売売上高)は、6月の0.7%増から0.5%増へと減速する見通しだ。
米労務省は、8月11日までの週における新規失業保険申請件数を発表する。市場予測では、20万9,000件から21万4,000件へ増加したと見られている。
また午後9時30分に、フィラデルフィア連銀が同地域製造業景気指数を発表する。同指数は、米中貿易戦争により製造業の活動が鈍化したため、先月の21.8から10に低下したと見られている。また、ニューヨーク連銀製造業景気指数は先月の4.3から3へと低下すると予想されている。
午後10時30分には7月鉱工業生産指数の発表が予定されており、6月の0%増から0.1%増へと微増する見込みだ。
2. イールドカーブ低下により、金融機関の危機感高まる
債券市場は、水曜日に米10年債利回りと2年債利回りが2007年以来初めて逆転したことを受け、木曜日の動向も注目されている。
14日、米10年債利回りは2年債利回りを僅かに下回った上、更に数bp低下する余地を残しており、景気後退への懸念が高まっている。
モントリオール銀行は2007年5月以来最大の日次下落幅である7.6bp減を次の支持線としたものの、16.5bp減と20.1bp減もありうると予想している。
金利が更に低下すれば、資金利益(受取利息から支払利息を差し引いたもの)に依存する金融機関にまた下押し圧力が掛かる。
14日、バンク・オブ・アメリカ (NYSE:BAC)、シティグループ (NYSE:C)、JPモルガン・チェース (NYSE:JPM)は4%以上下落し、ファイナンシャル・セレクト・セクターETF(NYSE:XLF)は3.7%安となった。
3. エヌビディア、ウォルマート、アリババの決算報告
決算報告シーズンは終わりに近づいているものの、エヌビディア、ウォルマート、アリババの決算報告が予定されており、それぞれの市場環境を占う上で重要な役割を持つ。
ウォルマートは市場寄付前に第二四半期決算報告を行う。
ウォルマート (NYSE:WMT)の予想売上高は1301.8億ドル、予想EPSは1.22ドルとなっている。
同社決算は、中国輸入物品への関税によるコスト増への対応の成否を判断する材料としても重要な位置づけとなる。同社は前四半期に、コスト増に対応するため商品価格を引き上げることを発表していた。
アリババ (NYSE:BABA)も15日の市場寄付前に決算を発表する。クラウドコンピューティング、BtoBセグメントによって米中貿易戦争による逆風を吹き飛ばすことができるのかという点に注目が集まっている。
RBCキャピタルの見込みでは、同社クラウドビジネスの四半期売上高は76%増となっている。
同社予想売上高は1117.8億ドルで、予想EPSは10.29ドルとなっている。
エヌビディア (NASDAQ:NVDA)の第2四半期決算は市場引け後に予定されている。同社の中核となる2つのセグメントについて、アナリストによる見方は一様でない。
米ウェドブッシュ証券が顧客へのメッセージの中で、「第2四半期のゲーム事業売上高及び第3四半期の予想売上高は、予測が控え目でもあったことから、予測以上の結果になると考えられる。しかしデータセンター売上高には疑問符が残る。」と述べた。
エヌビディアの予想売上高は25.5億ドルで、予想EPSは1.14ドルとなっている。