日経平均は8日続伸。
180.28円高の21778.04円(出来高概算7億2232万株)で前場の取引を終えた。
前日の米国株式市場は、新製品・新サービスを発表した米アップル株が3%を超える上昇となり、ハイテク銘柄全体に買いが広がり、堅調推移となった。
これにより、シカゴ日経225先物清算値は大阪比105円高の21665円に。
また、東京市場朝方にかけて、トランプ大統領が2500億ドル分の中国製品に対する制裁関税の拡大を10月15日に先送りすると発表したことから、為替市場でドル円が1ドル=108円台を回復。
米中貿易摩擦への緩和期待を背景に、本日の日経平均はシカゴ日経225先物清算値を大きく上回る格好で寄り付いた。
その後も値がさ株中心に買いが優勢となり、日経平均は直後に上げ幅が200円を超える場面もみられた。
前場中ごろから開始されたアジア株式市場がまちまちの展開となるなか、前引けにかけての日経平均は高値圏でこう着となった。
セクターでは、その他製品が2%の上昇となったほか、空運業、電気・ガスが上昇した一方で、石油石炭製品、パルプ・紙、銀行業などは軟調。
売買代金上位では、ヤフー (T:4689)の子会社化を発表したZOZO (T:3092)がTOB価格にサヤ寄せする格好から急伸しているほか、任天堂 (T:7974)、東京エレクトロン (T:8035)、ソニー (T:6758)、村田製作所 (T:6981)、ファナック (T:6954)、キーエンス (T:6861)などが上昇。
一方で、足元で戻り基調であった三菱UFJ (T:8306)などのメガバンクに対して利益確定売りの動きが出たほか、GMOPG (T:3769)、ソフトバンクG (T:9984)やトヨタ自動車 (T:7203)もさえない動きになった。
決済代行を担うGMOPGは、ZOZOのヤフー傘下入りに伴う同社サービスの鞍替え懸念から売りが優勢となったもよう。
為替相場においては、足元で投機筋が8月末にかけて積み上げた差し引き3万枚超の円買い・ドル売りポジションの解消が急速に進んでいるとみられ、前述の通り1ドル=108円台へと約1ヶ月ぶりの円安・ドル高水準に振れている。
ただ、ドル・円は、投機筋の円買いポジションの積み上がりが始まる前の水準に戻したに過ぎず、日経平均も7月25日につけた戻り高値21823.07円を前に上値の重さがいったん意識されている。
なお、本日は週末の先物オプション特別清算指数算出(SQ)を控えた9月限の最終売買日ということもあり、225先物は限月交代に伴うロールオーバーが中心となっており、朝方にみられたショートカバーの動きもやや落ち着いてきているようだ。
前日の米国株式市場で、今週初からみられた成長株(グロース株)から割安株(バリュー株)への資金シフトの動きにやや陰りがみられたこともあり、東京市場でも同様の動きとなっている。
特に金融セクターに関しては、米10年債利回りの上昇基調は続いているものの、本日のメガバンク株は揃って利食い売りの動きとなっている。
とはいえ、米中対立が緩和に向かっていることを背景にした景気敏感株の堅調推移が継続している点は、投資家心理にもポジティブに働こう。
物色としても、週初から割高感を意識した売りが優勢となっていたグロース株に対する押し目買いの動きにも視野を広げておきたいところである。
(雲宮 祥士)