[フランクフルト 11日 ロイター] - 今週開催されているフランクフルトモーターショーで中国の自動車メーカーとサプライヤーが存在感を高めている。欧州自動車各社に義務付けられた排出ガス規制を背景に、中国企業が電動化技術分野での強い立場を利用しているからだ。
出展企業数は前回2017年の994社から今年は800社に減少したものの、中国からの出展企業は73社から79社に増え、外国からの参加企業として最大のグループを形成している。
今年は、フィアット (MI:FCHA)、アルファロメオ、日産自動車 (T:7291)やトヨタ自動車 (T:7203)などの欧州と日本の自動車メーカーがコスト削減を理由に出展を見送った。
欧州自動車各社は電気自動車(EV)と自動運転車の開発に向けて数十億ドル規模の投資に直面。アジア勢が優勢な分野であるリチウムイオン電池などの主要技術を中国企業に頼らざるを得ない状況となっている。
欧州連合(EU)は、2007─21年で二酸化炭素(CO2)排出量を40%削減するのに加えて、21─30年でさらに37.5%削減するという厳格な規制を定めており、ドイツ自動車各社はこの規制順守に向け、電動化計画の加速を余儀なくされている。
こうした背景から各社は中国企業との大規模な契約を締結している。中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL) (SZ:300750)の幹部は、BMW (DE:BMWG)とフォルクスワーゲン (DE:VOWG_p)とのサプライヤー契約に続き、年内にさらに数社との合意を見込んでいると話した。
ダイムラー (DE:DAIGn)は11日、中国が出資するリチウムイオン得電池メーカー、ファラシス・エナジーをメルセデス・ベンツの電動化計画の電池サプライヤーに選んだと発表した。ファラシスはドイツ東部に6億ユーロ(6億6300万ドル)を投じて工場を建設中。近くでは中国のライバルのCATLが18億ユーロ規模の電池工場の建設を進めている。
中国の長城汽車 (SS:601633) (HK:2333)から分離独立したSVOLTエナジー・テクノロジーはロイターに対し、欧州に建設した20億ユーロ規模の新工場で23年に電池生産を開始すると明らかにした。
米中貿易摩擦を背景に、中国企業も欧州勢への注目度を高めている。
中国のEVメーカー、バイトンのダニエル・カーシャート最高経営責任者(CEO)は「欧州の優先度を上げた」とし、欧州は目下、EVが受け入れられる「転機」にあると付け加えた。同氏によると、バイトンは欧州で試作車のロードショーを行っており、2万人の顧客から関心が寄せられているという。ノルウェーやオランダなどEVの人気国では「非常に前向きな手応えを感じた」と述べた。
仏自動車大手PSAグループ (PA:PEUP)のカルロス・タバレスCEOはショーを利用して、排出ガス削減に対する欧州当局の挑戦的なやり方への批判を高めた。同氏は記者団に対し「政治家は業界との協議なしにルールを決めることができる」と強調した。
投資調査会社エバーコアISIのアナリストは、21年規制を満たすことができなければ、メーカーは推計総額330億ユーロ相当の罰金に直面する可能性があると指摘している。