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きちりHD Research Memo(7):フランチャイズ展開やITサービスの育成による次世代ビジネスモデル構築で成長

発行済 2019-09-26 15:17
更新済 2019-09-26 15:21
© Reuters.  きちりHD Research Memo(7):フランチャイズ展開やITサービスの育成による次世代ビジネスモデル構築で成長

■今後の見通し2.今後の成長戦略きちりホールディングス (T:3082)は外食業界を取り巻く環境変化として、「ライフスタイルの多様化」「人口減少による市場規模の縮小」「人材不足」の3点にあると考えており、これら課題を克服でるかどうかが成長の鍵を握ると見ている。

このため、同社は従来の「立地×業態」による二次元の拡大による事業成長に、Food Tech戦略を組み合わせた次世代型ビジネスモデルを構築することで、さらなる成長を目指していく戦略を打ち出している。

2019年1月に持株会社体制に移行したのも、Food Tech戦略を機動的に推進していく体制を整備するためだ。

現在、同社の子会社としては外食(直営・FC)運営事業を担うKICHIRIのほか、ASP/SaaS事業を展開する(株)オープンクラウド、インドネシアで各種リゾートサービスを展開するPlataran社及び吉本興業との合弁会社で、日本における「Plataran」ブランドのレストランを展開する(株)ユニゾン・ブルー、インドネシアを皮切りにASEAN市場で同社業態のFC展開を進めていくPT Kichiri Rizki Abadiの4社がある。

このうちKICHIRIを除けば事業規模がまだ小さいため連結対象子会社とはなっていないが、オープンクラウドに関しては2020年6月期から連結対象となる可能性がある。

Food Tech戦略として同社は「オープン&クローズ戦略」「Food Experience(食体験)戦略」「オープンイノベーション戦略」の3つの戦略を積極的に推進していく方針となっている。

(1)オープン&クローズ戦略オープン&クローズ戦略とは、同社の強みであり付加価値を得られるクローズ領域(物件開発、商品企画、商品販売)をベースに、オープン領域(企画された商品の製造、店舗オペレーション)における社外のリソースを活用することで、自社の成長だけでなく、中小企業の育成・雇用促進、地域活性化に貢献する戦略となる。

例えば、自社で企画・開発した付加価値の高い商品を、全国の製造会社に委託し、自社販売のほかライセンス契約により他社で販売していくといったケースや、飲食店の新業態を開発し、FC展開していくといったケースが想定される。

ライセンス契約やFC展開を進めていくことで、成長スピードを加速化するだけでなく、収益性の向上も図れることになる。

FC展開については「いしがまやハンバーグ」で2018年より開始しているが、その他の業態も含めて国内外から引き合いはきており、今後は積極的に取り組んでいく方針となっている。

ASEANでの展開についてはKichiri Rizki Abadiがフランチャイジーとなり展開していく予定で、既に「いしがまやハンバーグ」「CHAVATY」を各1店舗、インドネシアで出店している。

なお、FC契約に関しては店舗運営指導なども行うフランチャイズ展開型(加盟金、ロイヤリティ、食材供給等が収益の柱)とブランド名だけを貸し出すライセンス展開型(ライセンス料、食材供給等が収益の柱)の2通りがあり、顧客ニーズによって対応していくことになる。

(2)Food Experience戦略高齢化社会の進展や女性の社会進出、単身世帯の増加などによりライフスタイルの多様化が進むなかで、外食企業に求められるニーズも変化しつつあり、同社は新たな差別化戦略として付加価値の高い食体験を得られる業態の開発やエンターテイメント企業との協業に取り組んでいる。

前述したグローサラント業態での展開もその一環となる。

2019年3月には香港・台湾・上海で高級スーパーマーケット「City Super」を運営するCity Super Ltd.との間で、グローサラント業態の店舗設計及び運営ノウハウの供与を目的として業務提携契約を締結し、同年8月に香港Times Square内に生鮮物販と飲食を融合させたグローサラント業態となる「City Super-Foodie Wonderland」をオープンしている。

同契約では一定のコンサルティング収入に加えて、売上高に応じたロイヤリティ収入を得られることになっている。

また、2019年6月には映画/演劇分野の大手である松竹と、日本のホラーコンテンツであるJホラーを国内外に発信すべく、共同事業を展開していくことを発表している。

具体的には、VR技術を活用した「VRお化け屋敷」を同社グループ店舗の一部、並びにホラーイベント会場等で「食+エンターテイメント」の融合により提供している。

また、Jホラーの人気が高いインドネシアにおいても今後、同社のグループ店舗で展開していくほか、シンガポールやマレーシアでの展開も予定している。

(3)オープンイノベーション戦略店舗の業務効率向上を図るため、同社は先進的なITサービスを開発するベンチャー企業と業務提携等を結びながら積極的に導入し、そのプラットフォームを他社に提供してきたが、子会社のオープンクラウドで開発したスマート選考ソリューションサービス「ApplyNow」が注目される。

「ApplyNow」は、求人応募者にスマート選考(予め求人募集企業が設定した質問へスマホ等を使って動画・記述等で回答)という新たな選考手法と提供することで求人応募者の負担(面接訪問するための時間や交通費)を軽減し、一方、求人募集企業にとっては採用率の向上と採用プロセス全体の効率化・最適化を実現するSaaS型サービスとなる。

学生など若い世代ではスマホで自身の動画を撮ることに抵抗が無いうえ、いつでも応募が可能なため好評を得ている。

また、導入企業側から見ても面接時間の設定や面接選考に係る時間が大幅に削減できる効果は大きい。

外食企業では面接のキャンセル率が5割で、高いところでは7割に達する企業もあると言われているためだ。

このため、導入企業からは高い評価を受けている。

2018年10月にリリースして以降、大戸屋HD (T:2705)等の大手外食チェーンだけでなくアパレル企業やテレマーケティング企業などアルバイトの採用数が多い企業を中心に20社を超える企業が導入しており、2019年8月には導入店舗数で早々と1,000店舗を突破した。

類似サービスは他にも複数あるが、同社がブラウザ版であるのに対して、他社サービスはスマホアプリ版のため利用者はアプリを一旦ダウンロードする手間がかかること、同社はリリース以降も雇用契約機能やAI機能など新機能を追加し、個人情報保護の観点からプライバシーマーク、国際標準規格の「ISMS」の認証を取得するなど、サービス面での機能・信頼性向上に取り組んできたことなどが導入数拡大の要因と見られる。

利用価格については導入店舗数等によって異なるが、1社当たりで月額10~50万円と比較的リーズナブルな価格設定となっている。

同社は今後もコンビニエンスストア等のアルバイト採用数の多い企業をターゲットに顧客開拓を進めていく方針となっている。

収益化の時期については、機能の拡充を今後も進めていくため未定としているが、成長ポテンシャルは大きいことから比較的早期に連結業績に貢献してくるものと予想される。

なお、オープンクラウドの従業員数は12名、うち8名がエンジニアとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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