[サンフランシスコ/ニューヨーク 1日 ロイター] - 米アルファベット (O:GOOGL)子会社グーグルが反トラスト法(独占禁止法)に違反していないかどうか調査を進めている米議会に対して、ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャスト (O:CMCSA)が動画広告事業を巡ってグーグルに問題があると提起した。事情に詳しい関係者が明らかにした。
4人の関係者の話では、先月非公開で開かれた議会の作業部会で、コムキャスト傘下の動画広告支援会社フリーホイールは、グーグルが運営する動画投稿サイトのユーチューブ上でプライバシー保護を口実にして、フリーホイールの顧客へのサービス提供を制限していると批判した。
フリーホイールがグーグルと2009年に結んだ合意に基づくと、ユーチューブにコンテンツを流しているメディア企業は、広告販売に際してグーグルのツールではなくフリーホイールの技術を使うことが認められている。フリーホイールのある顧客は、同社が長年の経験を持っているので頼りになると話した。
ただ昨年、グーグルは欧州でフリーホイールに対してユーチューブでのサービス提供を許可しなくなった。その理由に挙げられたのが、欧州連合(EU)が導入した一般データ保護規則(GDPR)で消費者データの共有に関する新たな基準が設定されたことだった。
米国では現在もユーチューブ上でメディア企業はフリーホイールの技術を利用できるものの、グーグルによってプライバシー保護を根拠に数十社がユーザーデータのアクセスを制限される形となっている。関係者によると、こうした状況ではメディア企業や彼らの広告主にとって、フリーホイールの技術を使う魅力が低下しかねないという。
フリーホイールが訴えている問題は、CATVやネット広告の業界で広く共有されている半面、グーグルから不当に圧迫されているとしている企業の大半は、グーグルに依存する事業運営を行っているため、報復を恐れてこれまで黙して語ってこなかった。
ただフリーホイールの親会社コムキャストの場合は、州と連邦政府へのロビー活動への支出や各種選挙における献金が多額に上っており、大きな政治力を持っている。