[シンガポール 3日 ロイター] - 3日に公表されたリポートによると、東南アジアのインターネット経済は今年39%成長し、1000億ドル規模となり、2025年までに3000億ドル規模に達する見通し。東南アジアではネットショッピングが普及、ライドシェアの人気も高まっている。
リポートはグーグル、シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングス、コサルタント会社のベイン&カンパニーがまとめた。リポートでは、同地域(インドネシア、マレーシア、ベトナム、シンガポール、フィリピン)のネット経済が2025年までに3000億ドル規模に拡大するとし、従来予想の2400億ドルを上方修正した。
東南アジアのオンライン産業は過去4年間で3倍以上に拡大。特に若年層は、銀行サービスへのアクセスやゲーム、航空券購入など、あらゆることを携帯電話で済ませるようになっている。
リポートは「あらゆる想定を上回る成長ペースだ」とし「大多数の人々がインターネットにアクセスできるようになり、デジタルサービスへの消費者の信頼感も大幅に上向いた」と指摘した。
リポートによると、過去4年間で370億ドル超が東南アジアのオンライン企業に投じられた。その大部分がジリンゴなどの電子商取引会社や、グラブやゴジェックなどライドシェア(オンライン配車サービス)への投資だった。なかでもライドシェアへの投資は130億ドル相当と2015年から4倍に拡大しており、2025年までに400億ドルに達すると予想されている。
東南アジア諸国は、2014年以降の平均成長率が年5%と世界の平均を大きく上回っており、中国経済が米国との貿易戦争の影響で減速するなか、有望な投資先となっている。
リポートによると、 域内のインターネット利用者は3億6000万人。4年前の2億6000万人から増えた。デジタル関連情報サービスの wearesocial.com によると、世界のネット利用者は前年比9%増の約44億人。
<規制や高技能労働力不足が問題>
ただ、こうした高い成長を阻む要因もいくつかある。規制リスクや技能労働者の不足だ。
マレーシアの独禁当局は3日、グラブが自社の運転手に対し独占禁止法に抵触する措置をとっていたとして8600万リンギ(2053万ドル)の制裁金を科す方針を示した。
シンガポールは今週、政府が虚偽とみなしたコンテンツを削除または訂正することをフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディア(SNS)会社に義務付ける「フェイクニュース」法を施行した。人権団体からは、インターネットの自由を阻害するものと懸念の声があがっている。
IT(情報技術)技術者など、高い専門知識を持つ人材不足も深刻だ。外国人労働者を厳しく規制しているシンガポールでさえ、この分野では海外から人材を取り込む方針を示している。
リポートは「ネット会社が『ギャップを埋める』のに懸命だが、人材がなお深刻な問題」と指摘した。