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Jトラスト Research Memo(5):アジア金融事業を中心に発展を目指す成長戦略に変更なし

発行済 2019-12-06 15:05
更新済 2019-12-06 15:21
© Reuters.  Jトラスト Research Memo(5):アジア金融事業を中心に発展を目指す成長戦略に変更なし

■中長期の成長戦略Jトラスト (T:8508)は、IFRS転換が遅れたことに加え、韓国及びモンゴル金融事業では負ののれんの処理や当局の規制強化の影響、東南アジア金融事業では不良債権処理の影響、投資事業ではGL関連損失処理の影響などから、結果として中期経営計画(2016年3月期〜2018年3月期)は予定どおりには進まなかった。

現在、新たな中期経営計画の発表はないが、会社として投資家に中期的な利益目標を示すことは非常に重要であると弊社では考える。

2019年3月期も東南アジア金融事業、投資事業の損失に伴い業績悪化を余儀なくされたが、不良債権を前倒しで一括処理したことで、今後の不安材料はなくなった。

この結果、2020年12月期からの本格的な業績回復を目指す準備が整ったと言えるだろう。

中長期的には主力の金融3事業が中心となり、グループ全体の収益拡大を図るとのビジネスモデルに修正はない。

既に見たように、2019年12月期決算は営業利益61百万円への小幅黒字転換を計画するが、第2四半期までの経過は好調で、計画を上回って着地する公算が大きい。

これまでに着手している戦略を推進することで、2020年12月期の営業利益は60億円へ、さらに2021年12月期には100億円規模に拡大すると見込まれる。

日本金融事業では、引き続き信用保証事業と債権回収事業により、安定的な利益を稼ぐ計画だ。

今後は、信用保証事業における新たな保証商品を拡充し保証残高の増加を図るとともに、継続的な債権買取と安定した回収を目指す。

足元では、金融機関の審査基準が厳格化していることなどから、当面はアパートローンの保証残高は増加を期待しにくい環境にある。

こうした環境下、新たな保証商品としてクラウドファンディング商品の保証を開始した。

日本保証の強みである不動産担保ローンの保証商品を3本リリースしたところ好評で、すべて即日目標額達成となったという。

さらに、海外不動産担保ローンの保証提携先銀行も4行に増えている。

こうした提携先の拡大や商品の多様化により、今後も保証残高が積み上げる考えだ。

韓国及びモンゴル金融事業でも、貯蓄銀行業に対する規制強化の影響を抑えつつ、債権回収事業とも合わせて増益を確保する計画である。

すなわち、デフォルトリスクを最小限にとどめ、利益率を追求するとともに、モバイルアプリをリニューアルし、個人向けの顧客の利便性を高め、アセット拡大を図る方針だ。

一方、現状は業績悪化に苦しんでいる東南アジア金融事業については、インドネシアでは再建に向けて、人材・組織の再構築、リスクマネジメントの強化、ITの改善、調達コストの改善、優良資産の積上げ等の諸施策に着手しており、利益を創出するための体制を早期に構築する計画だ。

さらに、新たに加わったカンボジアでは、顧客獲得ターゲットをミドルリスク層へ広げることで利益を拡大する計画である。

JTOのグループ入りに伴い、韓国に続きインドネシアでも、銀行、債権回収会社、ファイナンスカンパニーの三位一体の事業セグメントが構築され、幅広いエリアにおける多様なニーズに応えられる体制が整った。

マルチファイナンス会社のJTOについては、2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めた。

JTOはオートローン業界の老舗として高い知名度があり、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。

既に提携先等のパートナーも増えており、従来の中古車ローンに加え農機具ローンや新車ローンなど新しい商品の提供を始めている。

また、Jトラスト銀行インドネシアのバランスシートを活用し、資金調達の安定化、資本効率の向上を進めつつ、銀行の再建にも寄与する見通しである。

Jトラスト銀行インドネシアでは日系企業等の優良企業を主体に貸付を実施する。

また、JTOでは農機具や車など、担保つきリテール融資を推進し、Jトラスト銀行インドネシアとのジョイントファイナンス貸付を拡大する計画だ。

既に、「(株)さわやか倶楽部」との協業による学資ローン(日本での就労や技術習得を希望するインドネシア人学生に向け、高度な日本語能力習得を目的とした教育ローン)の積み上げや、2018年より積極的に推進した農機具ローンの販売(2019年9月時点で累計640台販売)などの成果が現れている。

また、ジャパン・コリアデスクを開設し、日本・韓国の現地法人向けに融資を拡大する計画だ。

今後もデフォルトリスクの少ないアセットを増加し、2023年には25兆ルピア(約1,944億円)規模への拡大を目指している。

加えて、カンボジア商業銀行中10位の資産規模を持つJTRBは資産内容の良い優良銀行で、安定的に年間30億円程度の営業利益を計上しており、今後、グループへの利益貢献が期待される。

JTRBでは、これまで上位約1%の超優良顧客と個人富裕層のみをターゲットとした営業戦略を取ってきたことから、不良債権比率は0.9%と低位で、商業銀行42行平均の2.2%を下回っているものの、貸付の成長が低迷し、流動性余剰の状態であった。

また、2018年5月に買収を発表して以降は、新たな貸付や積極的な営業活動を控えていたようだ。

しかし、今後はミドルリスク層も視野に入れ、顧客層のベースを強化することで市場並みの成長を見込み、3年後にはアセットを現在の2倍に拡大することを目標にしている。

収益面でも、スピードとバランスが取れたリスク/リターンによって、平均成長率26%を目指している。

JTRBでは、従来は上位1%の企業や上位5%の個人を対象としていたが、今後は法人では大企業から中堅企業まで、また個人は住宅ローンを中心に顧客層の拡大を図る方針であり、その与信審査には日本からのオフィサーが担当する予定であることから、ミドルリスク層に展開する一方で不良債権比率を抑えながら収益を拡大する計画である。

このように、同社グループは成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力に、持続的な成長を目指している。

今後、インドネシアの金融事業が業績を回復し、カンボジアでの銀行事業で成長を図ることで、同社グループ全体の増収増益基調をけん引すると期待される。

同社では、将来的には、さらにラオスやミャンマーなどへの進出も考えていると見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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