[シアトル 19日 ロイター] - 米ワシントン州の議員らは19日、ボーイング (N:BA)やその他航空機関連企業に適用している税制優遇措置を撤廃することを盛り込んだ法案を州の上下両院に提出したと明らかにした。航空機補助金を巡る米国と欧州連合(EU)の紛争を和らげ、EUが米製品に報復関税を課すのを避ける狙いがある。
米連邦政府は先週、ボーイングのライバルの欧州エアバス (PA:AIR)製航空機向けの追加関税率を引き上げた。世界貿易機関(WTO)がEUによる補助金継続を昨年、協定違反と認定し米国による対抗措置を承認したためだ。
一方、米国によるボーイング支援に関しても、WTOからEU側に対し、協定違反の認定と対抗措置の承認が今春にも得られると見込まれている。
こうした中でワシントン州議会が、航空機産業への税制優遇措置撤廃に動きだした。同州のインズレー知事は声明で、「WTOに絡むこの問題に対処し、民間航空機産業だけでなく、他の重要な地元の輸出品に打撃を与える報復関税を回避するには、州議会が今回の審議で行動する必要があるとの幅広い合意がある」と説明した。
ボーイングは、今年1月に初飛行した次世代大型旅客機「777X」についてもかねてから、税制優遇の適用を働き掛けていると報じられてきたが、インズレー氏によると、今は逆に優遇措置をなくすよう求めているという。
同氏は「ボーイングはEUとの間で問題が完全に決着するまでは、税制優遇を少なくとも一時停止してほしいと要望している」と述べた。
ボーイングは「今回の法案はワシントン州と米政府が、公正でルールに基づく貿易に取り組み、WTOの協定を守るという強い決意の証明だ」として、州議会を全面的に支持するコメントを発表した。