[シンガポール 18日 ロイター] - トムソン・ロイターがINSEADと共同で実施したアジア企業景況調査によると、第1・四半期の景況感指数は53と、前期の71から大幅に低下した。新型コロナウイルスの世界的流行で各国が国境封鎖に動き、経済活動や消費者心理に打撃を与えている状況を反映した。
景況の改善と悪化の分岐点である50は上回ったが、10年ぶりの低水準だった2019年第2・四半期と同水準になった。調査期間が2月28日から3月13日だったため、今週の金融市場の混乱は踏まえてはいない。
調査にはアジア太平洋地域の11カ国のさまざまな業種の100社が回答した。
INSEADのアントニオ・ファタス教授(経済学)は「世界や金融市場でこれまで起きたことを考えると、きょうが調査日だったら景況指数はもっと低下していただろう」と指摘。
「欧州と米国が新型コロナ感染を抑え込むことができない場合、感染者は今後数週間急増し続け、世界経済は大規模な混乱に見舞われるだろう」とした。
回答企業は、新型コロナの世界的流行(パンデミック)を最大のリスクに挙げた。
複数の諸国は新型コロナ対策として、スポーツ、文化、宗教関連のイベントを含む大規模集会を禁止している。
ファタス教授は、現在は経済指標ではなく、感染者がどのように広がっているかのデータを見る必要があると述べた。人々がいつ会社での勤務や外食、渡航を再開できるかなど、経済活動の先行きを見極めるうえで重要になっているからだとした。
業種別では、航空を初めとする輸送や物流が、各国の渡航制限によって大きな打撃を受けている。
豪カンタス航空 (AX:QAN)の最高経営責任者(CEO)は、新型コロナ危機は航空業界に「過去最大のショック」をもたらしたと述べている。
OCBCバンク・ウエルス・マネジメントの上級投資ストラテジスト、バス・メノン氏は現在の状況は「世界的な金融危機とは異なる。非常に大きく未知なものと戦っている。見えない敵だ」と述べた。「供給と需要の大規模な途絶を引き起こしており、現時点で終わりは見えていない」とした。
調査にはスズキ (T:7269)、デルタ・エレクトロニクス(タイ) (BK:DELTA)、インドのヒーロー・モトコープ (NS:HROM)、フィリピンのメトロポリタン銀行 (PS:MBT)、豪オイル・サーチ (AX:OSH)が含む企業が回答した。