日経平均は反落。
157.02円安の19272.42円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。
23日の米株式市場でNYダウは小幅に続伸し、39ドル高となった。
注目される原油先物相場が大きく値を戻し、NYダウも一時400ドル超に上げ幅を広げた。
しかし、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス治療薬の治験が失敗したと一部メディアが報じると失望感から失速した。
なお、4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2009年3月以来の低水準で、週間の新規失業保険申請件数は442.7万件となり、わずか5週間で08年の金融危機以降新たに創出された雇用を全て失った。
また、時間外取引では半導体のインテルが決算を受けて大幅安となり、本日の日経平均も国内外の経済や企業業績の悪化を懸念して97円安からスタート。
一時19210.68円(218.76円安)まで下落すると、軟調もみ合いが続いた。
個別では、ファーストリテ (T:9983)などが軟調で、ソフトバンクG (T:9984)や富士フイルム (T:4901)は小安い。
インテルの決算を受けて東エレク (T:8035)などの半導体関連株もさえない。
国内でも主要企業の決算発表がスタートしたが、キヤノン (T:7751)やディスコ (T:6146)は売り優勢。
また、レッグス (T:4286)などが東証1部下落率上位に顔を出した。
一方、中外薬 (T:4519)やオムロン (T:6645)、オービック (T:4684)は決算が好感されて買われ、ネットワン (T:7518)は商いを伴って急伸した。
その他、売買代金上位では任天堂 (T:7974)、神戸物産 (T:3038)、武田薬 (T:4502)が買い優勢。
また、ネットワンとともにクボテック (T:7709)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
セクターでは、空運業、証券、鉄鋼などが下落率上位。
半面、石油・石炭製品、保険業、精密機器など4業種が上昇した。
東証1部の値下がり銘柄は全体の69%、対して値上がり銘柄は26%となっている。
米国株の引け味の悪さやインテルの時間外取引での急落などを受け、本日の東京市場は売りが先行する展開となった。
ギリアドの新型コロナ治療薬や半導体関連企業の好業績への期待は直近の米国株の戻りを大きく後押ししていただけに、失望感が出やすいところだろう。
日経平均の日足チャートを見ると、19300円台半ばに位置する5日移動平均線に上値を抑えられる格好。
個別では景気敏感株を中心に軟調だが、前日から発表が本格化した決算を手掛かりとした物色が見られ、中小型株の一角も売買代金上位に顔を出している。
ここまでの東証1部売買代金はおよそ8000億円と、決算発表が本格化したにもかかわらず低迷。
新興市場ではマザーズ指数が続伸している。
前引けの東証株価指数(TOPIX)は0.62%の下落となり、後場は日銀による上場投資信託(ETF)買い入れが実施される見込み。
ただ、アジア市場では中国・上海総合指数や香港ハンセン指数などが軟調で、積極的な買いは期待しにくいだろう。
後場の日経平均は日銀のETF買いをサポートにやや下げ幅を縮めつつも、引き続きマイナス圏で推移しそうだ。
ここまで発表された米企業の決算や、前日発表された国内主要企業の決算の内容は強弱まちまちといったところだ。
オムロンのように前期業績が想定ほど悪化しなかったケースや、中外薬やオービックのようにコロナ禍にもかかわらず業績に安定感のあるケースは素直に好感されているが、株式相場全体を大きく押し上げるまでには至っていない。
また、新型コロナを巡る先行き不透明感からオムロンなど業績予想を非開示とする企業が相次いでおり、市場の目線が定まらず、今後の株価が不安定になる可能性も指摘されている。
さらに、業績データの信頼感が低下し、システム的な取引が手控えられたことが売買代金低迷の要因かもしれない。
これらを勘案すると、一昨日の当欄でも指摘したとおり、日経平均の戻りは一服となり、けん引役を欠くなかでもみ合い推移することが見込まれる。
ただ、薄商いとなっているだけに、短期的に上下に振らされる場面が出てくる可能性もある。
新型コロナの影響下でも底堅い業績が期待できる銘柄を丁寧に選別していく必要があることも改めて述べておく。
(小林大純)