[北京/上海 28日 ロイター] - 中国の大手国有銀4行が28日に発表した第1・四半期決算は、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず増益となった。ただ利益率は縮小した。
純利益は、中国工商銀行(ICBC) (SS:601398) (HK:1398)が前年同期比3.04%増、中国交通銀行 (SS:601328) (HK:3328)が1.8%増、中国農業銀行 (SS:601288) (HK:1288)が4.79%増、中国建設銀行 (SS:601939) (HK:0939)が5%増となった。
新型ウイルス感染抑制措置により工場やショッピングモールなどが閉鎖されたことが響き、中国の第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%減。四半期統計でさかのぼれる1992年以降で初のマイナスとなった。
中国では大手銀は国有企業への融資が多いことに加え、資本準備も潤沢なため、中小銀より景気悪化への耐性は高い。ただこうした利点があるにもかかわらず、純金利マージンは大手3行で縮小。中国農業銀行は純金利マージンを開示しなかった。
アナリストは、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)改革のほか、低金利が重しとなったと指摘している。
銀行保険当局によると、銀行部門全体の不良債権比率(NPL)は第1・四半期は2.04%に上昇。世界的な金融危機以降で最も高くなった。ただこうしたトレンドにもかかわらず、同比率は中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行で安定的に推移した。
S&Pグローバルは4月のリサーチノートで、大手銀は資金調達能力が高いため、資産価値の低下に対する耐性が大きく、大規模な不良債権にも耐えられるとの見方を示している。