[デトロイト 28日 ロイター] - 米フォード・モーター (N:F)が28日発表した第1・四半期決算は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による影響を受け、20億ドルの損失となった。北米工場が閉鎖される中、第2・四半期は2倍以上に当たる50億ドル超の損失計上が見込まれるという。
ティム・ストーン最高財務責任者(CFO)は声明で「自動車販売や資金調達がなくとも、手元資金で年末まで十分対応できる」と述べた。ただ、2020年の通期見通しを示すには「足元の経済環境はなお不明瞭過ぎる」とした。
ジム・ハケット最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「パンデミックによるマイナスの経済的影響は否定のしようがない」と述べた。
株価は引け後の取引で4.6%超下落した。
同社は17日、第1・四半期に20億ドルの損失を計上する見通しと発表。同日、社債発行により80億ドルを調達したことも明らかにした。
フォードはゼネラル・モーターズ(GM) (N:GM)やフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA) (MI:FCHA) (N:FCAU)とともに5月中の米工場再開を目指している。
ストーンCFOは記者団との電話会見で「実行可能な限り早期」に米国での生産を再開すると述べたが、時期には言及しなかった。
ただフォードはこの日、欧州の製造拠点の大半を5月4日から再稼働すると発表した。同社はすでに中国での生産を再開している。
第1・四半期の中国の売上高は35%減。北米の売上高は12.5%減だった。
また自動車部品メーカー、ボルグワーナー (N:BWA)の工場が竜巻の被害を受けたことにより、ピックアップトラックやSUV(スポーツ用多目的車)など高価格帯の車種の生産が打撃を受ける可能性があるとした。
フォードは工場閉鎖を乗り切るため、幹部や事務職の給与を減らすなどコスト削減に取り組んでいる。
プロジェクトへの支出も削減しており、この日は商用自動運転車サービスを2022年まで1年延期すると発表。電気自動車(EV)メーカーのリビアンと提携して進める予定だった高級SUV(スポーツ多目的車)「リンカーン」のEV版についても、開発を見送る方針を明らかにした。
フォードはまた、世界的な再編費用として今年7億─12億ドルを投じるとの見通しを示した。幹部らは、追加の措置も検討していると明らかにした。
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