[フランクフルト/デュッセルドルフ 19日 ロイター] - ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップ (DE:TKAG)のマルティナ・メルツ最高経営責任者(CEO)は19日、鉄鋼部門の大半を売却する可能性があると述べた。
同社は創業200年の大手複合企業。歴史的な戦略転換となる可能性がある。
同CEOは鉄鋼事業の過半数株式を売却する可能性があるかとのロイターの質問に「もう聖域はない」と発言。ただ「合併・買収(M&A)市場は事実上、停止状態にある」とし、現在の環境では事業売却は難しいとの認識を示した。
同CEOはこれに先立ち、他の鉄鋼メーカーと事業統合について協議していると発表。新型コロナウイルスの感染拡大で協業の新たな可能性が開けたと述べた。
同CEOは「あらゆる選択肢を検討している。合併、買収、当社による同業他社の買収、当社事業部門の単独での展開などだ」と述べた。
同社の鉄鋼事業は売上高ベースで欧州2位。需要低迷、安価な中国製品の流入で打撃を受けている。インドのタタ・スチール (NS:TISC)の欧州部門との事業統合を計画していたが、独占禁止法違反に対する懸念で断念した。
業績の下方修正が相次ぎ、過去1年で株価は急落。昨年、稼ぎ頭のエレベーター部門を売却した。