[シンガポール 17日 ロイター] - トムソン・ロイターがINSEADと共同で実施したアジア企業景況調査によると、第2・四半期の景況感指数は過去最低の35となった。回答企業の約3分の2が新型コロナウイルス感染の悪化を今後6カ月の最大のリスクに挙げた。
景況の改善と悪化の分岐点である50を下回るのは調査が始まった2009年第2・四半期に45を記録して以来。
回答企業93社のうち約16%がリセッション(景気後退)の悪化が主なリスクと指摘した。また半数以上が雇用が減少し事業規模が縮小すると予想した。
INSEADのアントニオ・ファタス教授(経済学)は「今回の調査は状況が非常に悪化し始めるタイミングで行われた」と指摘。「この完全な悲観論がこれまで見たことのない形で各国の幅広い業種に広がったことがうかがえる」と分析した。
調査は5月29日から6月12日にかけてアジア太平洋地域の11カ国の企業に対して行われた。スズキ (T:7269)、タイのホテル・外食大手のマイナー・インターナショナル (BK:MINT)、台湾の電子機器受託製造大手ウィストロン (TW:3231)、豪オイル・サーチ (AX:OSH)などが含まれる。
<V字回復見込めず>
中国の5月の鉱工業生産は2カ月連続で増加したものの、市場予想ほど伸びなかった。HL銀行のシニア国債ストラテジストは「回復はV字型ではなく時間がかかることを示している」と指摘した。
マイナー・インターナショナルの最高戦略責任者チャイヤパット・パイトゥーン氏はいくつかのコスト削減策を取ったと明らかにした上で「優先事項は生き残り、(事業を)安定させ、成長させることだ」と語った。
モルガン・スタンレーのエコノミストは最近のリポートで、コロナ禍後にマクロシフトが起きると予想。「大規模な緩和的財政政策により今後2年間で債務の対国内総生産(GDP)比率が上昇する公算が大きい」とし、事態が好転したときに政策当局者は債務を縮小し新たに政策の余地を確保する必要があると述べた。