[ロンドン 22日 ロイター] - 運用資産が合計1兆8000億ポンド(2兆2000億ドル)を超える投資家グループは22日、大手石油会社に対し、気候変動リスクを会計に反映させるようさらに求めていく方針を示した。
同グループを率いる資産運用会社サラシン・アンド・パートナーズの担当責任者ナターシャ・ランデルミルズ氏は、英BP (L:BP)が石油・ガス価格の長期予想を大幅に引き下げ、第2・四半期決算で最大175億ドルの費用を計上すると発表したことについて「極めて重要な」ニュースだと指摘。
クリーンエネルギーへの移行が世界的に進む中、「すべての企業経営者と株主は、会社のどこが過大評価されているかを直ちに見直す必要がある」と述べた。
投資家グループには大手ファンド20社以上が参加。同グループが発表した共同声明をロイターが確認した。
BPはコメントを控えている。
投資家グループはすでに、建材大手のCRH (I:CRH)に対するロビー活動を開始。鉄鋼原料を供給する資源大手リオ・ティント (L:RIO) (AX:RIO)にも書簡を送付する計画だ。セメントと鉄鋼は温室効果ガスの大きな発生源となっている。
同氏はロイターとのインタビューで「化石燃料への依存度が高い他の企業にも同様の働き掛けを進めていく」と発言。化石燃料プロジェクトに融資を行っている欧米の銀行も対象にする方針という。
リオ・ティントとCRHはコメントを控えている。
同投資家グループは昨年以降、4大監査法人(EY、デロイト、KPMG、PwC)に対し、気候変動の関連リスクを見過ごさず早急に行動するよう求める書簡を送付している。
投資家の間では、地球温暖化や経営リスクに対する懸念を背景に、気候変動問題への取り組みを企業に求める動きが広がっている。
米資産運用大手ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO) (N:BLK)は出資先企業のCEOに宛てた年次書簡で、各社の取締役会は気候変動問題への取り組みを強化しなければさらに投資家の怒りを買うことになると警告。投資家は持続不可能な事業慣行によって将来、自身の資産が減ってしまうのではないかと懸念していると指摘した。