[クライド(米オハイオ州)/オタワ 6日 ロイター] - トランプ米大統領は6日、カナダから輸入するアルミの一部に10%の追加関税を発動すると表明した。カナダからの輸入急増を受けて、国内アルミ産業を保護するための措置だと説明した。
トランプ氏は家電大手ワールプール (N:WHR)のオハイオ工場で演説し、通商拡大法232条に基づき、国家安全保障の観点から関税の再導入を発令したと述べた。
オハイオ州は11月の大統領選挙の激戦州で、世論調査では民主党のバイデン氏と接戦になっている。
トランプ氏は「数カ月前にカナダ政府が米国への輸出拡大で米アルミ業界の雇用を奪うことはないと確約したことから、米国はアルミ関税の解除に合意したが、カナダのアルミ生産者は約束を破った」と主張した。
米通商代表部(USTR)によると、非合金の未加工アルミに10%の関税を上乗せし、下流部門のアルミ製品は対象外となる。
カナダのフリーランド副首相は声明で、米国の関税は新型コロナウイルスの流行で打撃を受けている労働者と地元経済に打撃を与えると批判。「米国の関税に対し直ちに同じ規模の報復措置を取る」と明言した。
午前11時(日本時間8日午前0時)に正式な発表を行うとしている。
カナダのアルミ大手リオ・ティント (AX:RIO) (L:RIO)の広報担当者は米国の関税について米消費者の価格を上昇させるだけで、北米におけるアルミの安定供給に対する市場の信頼を損なうと述べた。
その上で「北米でのアルミ供給への悪影響を最小限に抑えるため、米国の顧客と協力している」と説明した。
米商工会議所はトランプ氏の決定について「間違った方向への一歩だ」と批判し、米国の企業や消費者のコスト負担が増えると指摘した。
またアルミニウム協会は米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を弱体化させるとの見方を示した。
一方、関税を働き掛けていた米センチュリー・アルミニウム (O:CENX)のマイケル・ブレス最高経営責任者(CEO)は「不可欠な戦略的素材(であるアルミ)の国内生産継続に資するものだ」と歓迎する意向を示した。
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