[ニューヨーク 30日 ロイター] 31日からの週の米国株式市場は、欧州が債務危機を終局に向かわせない限り状況が改善する可能性は低いことから、投資家の間で警戒感が広がる見通し。
米株市場の5月のパフォーマンスは過去1年余りで最悪となった。
前週末28日の米株市場は、格付け会社フィッチ・レーティングスがスペインを格下げしたことを受けて主要株価3指数が約1%下落した。一部のアナリストの間では、フィッチのスペイン格下げを受け、株式市場が上昇するには、欧州中央銀行(ECB)が債務危機へのより強固な対策を打ち出す必要があるとの見方が強まっている。
米株市場は31日、メモリアルデーで休場となる。
休場明けに発表される5月の一連の米経済指標では、投資家が最も懸念する、欧州からの衝撃波が大西洋を横断しつつある兆候が示される可能性がある。恐らく、こうした兆候は米経済の先行指標とされる5月の米供給管理協会(ISM)製造業景気指数とISM非製造業景気指数にまず表れる可能性がある。
この2つのISM景気指数が弱い数字となった場合、米経済の回復に対する投資家の信頼感を維持するためには5月の米雇用統計が強い内容になる必要があるだろう。5月の雇用統計は米東部時間6月4日午前8時半(日本時間同日午後9時半)に発表される。
ロイター調査によると、5月の非農業部門雇用者数は前月比50万3000人増加する見通し。
プルデンシャル・インターナショナル・インベストメンツ・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・プラビーン氏は「マクロ経済データはすべて、欧州というプリズムを通じて解釈されるだろう」と指摘した。
ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は30日、現地の新聞に対し、ギリシャは債務の再編は行わず、欧州連合(EU)および国際通貨基金(IMF)と合意した緊急支援措置で定められた財政目標を達成するためにさらなる削減は必要ないとの見解を示した。
同相は「ギリシャは追加の措置を必要としていない。特に『痛みを伴う』措置は必要ない。今後は、一貫性をもって目標を達成するという1つの選択肢しかない」と語った。
プルデンシャルのプラビーン氏は、米株市場について、5月の最終週に小幅上昇したものの、米連邦準備理事会(FRB)が昨年初めに行ったようにECBが政府債の購入を拡大しない限り、大きな進展はないとみている。
同氏は「この欧州危機の終局は、少なくとも短期的にはECBが何らかの量的緩和措置を打ち出すかどうかにかかっている」と語った。
5月のISM製造業景気指数は1日、ISM非製造業景気指数は3日発表される。