日経平均は続落。
143.50円安の26612.74円(出来高概算6億9000万株)で前場の取引を終えている。
10日の米株式市場でNYダウは続落し、69ドル安となった。
週間の失業保険申請件数が前週から大幅に増加し、景気回復が停滞するとの懸念が強まった。
ただ、食品医薬品局(FDA)が早ければ11日にも新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を出すとの見通しや、ムニューシン財務長官が追加経済対策を巡る協議でかなりの進展があったと報告したことを受けて下げ渋った。
また、東京市場では先物・オプション12月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買もあり、本日の日経平均は23円安からスタートすると、その後一転して一時26819.41円(63.17円高)まで上昇。
しかし、その後は為替相場が一時1ドル=103円台まで円高に振れるとともに売りが出て、26553.01円(203.23円安)まで下落する場面があった。
なお、SQ値は概算で26713.47円となっている。
個別では、売買代金トップのソフトバンクG (T:9984)が4%超の下落。
MBO(経営陣が参加する買収)実施の思惑から大きく買われてきたが、日足チャート上で前日に長いひげを付けたこともあり、利益確定売り優勢となっている。
その他ではダイキン (T:6367)が2%超下落し、ファーストリテ (T:9983)や信越化 (T:4063)もさえない。
また、決算が嫌気されたサムコ (T:6387)などが東証1部下落率上位に顔を出している。
一方、任天堂 (T:7974)とエムスリー (T:2413)が2%超、トヨタ自 (T:7203)が4%超の上昇となっている。
値がさグロース(成長)株は前日の米ハイテク株高が支援材料。
また、トヨタ自は環境車シフトが進むなかで強みを発揮するとの期待を集めているようだ。
その他ではソニー (T:6758)やソフトバンク (T:9434)がしっかり。
決算が好感された三井ハイテク (T:6966)はストップ高を付けており、アイモバイル (T:6535)もストップ高水準での買い気配となっている。
セクターでは、海運業、その他金融業、パルプ・紙などが下落率上位。
半面、輸送用機器、その他製品、空運業などが上昇率上位だった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の47%、対して値上がり銘柄は48%となっている。
本日の東京市場ではSQ算出に絡んだ売買が一巡すると、日経平均が一時200円を超える下落となった。
メジャーSQ通過に伴い良好な需給状況は終わりとの見方もあったことから、短期的に売りが出るのもやむを得ないだろう。
米経済対策を巡る不透明感、為替相場の円高進行なども相場の重しとなっている。
とはいえ、日経平均は大きく下押しすることもなく、引き続き26600円台に位置する5日移動平均線レベルでの推移だ。
東京証券取引所が10日に発表した12月第1週(11月30日~12月4日)の投資部門別売買状況を見ると、外国人投資家はそれぞれ現物株を1972億円買い越し(前週は4244億円買い越し)、東証株価指数(TOPIX)先物を400億円売り越し(同売り買い均衡)、日経平均先物を1500億円売り越し(同700億円売り越し)していた。
年末前の休暇ムードが強まるなかで、「現物株の買い入れやTOPIX先物の買い戻しは一巡、日経平均先物は短期筋が利益確定売り」という従来当欄で推定していたとおりの動きだ。
相場上昇を主導する海外勢の積極的な取引参加は期待しづらいだろう。
一方、個人投資家は現物株を1046億円買い越した(同4973億円売り越し)。
これも「上値追いとなった値がさグロース株中心に個人投資家が売買を活発化させた」との当欄での見方と整合的だ。
また、一部メディアが算出・報じている4日申し込み時点の信用評価損益率は-12.37%と、前週(-12.35%)から小幅な悪化にとどまった。
個人投資家のセンチメントはなお良好で、その積極的な売買が相場全体を支えているのだろう。
前日までのソフトバンクG、それに本日のトヨタ自などの盛り上がりからもそれが窺える。
スケジュール的にも、来週15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、17~18日に日銀金融政策決定会合と日米の金融イベントが控えており、やはり相場全体に大きな方向感が出てくることは期待しづらいだろう。
日経平均は節目の27000円を前に一進一退となるだろうが、15日から始まる「IPO(新規株式公開)ラッシュ」を前に、個人投資家による幕間つなぎ的な物色が支えとなりそうだ。
(小林大純)