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品川リフラ Research Memo(7):2021年3月期の予想経常利益の落込み幅は、多くの製造企業より小さい(2)

発行済 2020-12-23 15:07
更新済 2020-12-23 15:21
品川リフラ Research Memo(7):2021年3月期の予想経常利益の落込み幅は、多くの製造企業より小さい(2)

■品川リフラクトリーズ (T:5351)の今後の見通し2. 中期経営計画現在、2021年3月期を最終年度とする第4次中期3ヶ年経営計画が進行中である。

2009年10月の合併後に打ち出した第1次と第2次中期経営計画では、最適生産体制の構築と統合効果の実現を目指した。

第3次中期経営計画で基盤整備と品種競争力の徹底強化を行い、第4次では“飛躍”を図った。

2021年3月期の重点施策は、1)「設備の基盤整備」総仕上げ、2)商品競争力の徹底強化、3)成長・未開拓分野の捕捉、4)「人材の基盤整備」強化、5)5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を柱とした安全で快適な職場環境の実現となる。

最終年度は、米中貿易摩擦の激化に加え、コロナ禍に見舞われた。

第5次中期経営計画は、2021年3月期決算と2022年3月期予想の発表時頃に公開されることになろう。

基本的な施策は、現在取り組んでいることを引き継ぐ形で、大きくは国内基盤整備と海外展開が柱になると推測される。

2024年3月期までの3ヶ年で予想される大きな外部環境の変化は、国内にある高炉の過剰生産能力の是正、海外市場の拡大、脱炭素社会への移行となるだろう。

(1) 国内市場の動向業績悪化により構造改革に取り組む日系高炉メーカーは、国内の高炉休止を含む生産体制の見直しを進めている。

JFEスチールは、国内生産を高炉8基から7基体制へ移行する。

現在、東日本製鉄所に2基(千葉地区と京浜地区に各1基)、西日本製鉄所に6基(倉敷地区と福山地区に各3基)ある。

東日本製鉄所の千葉地区の高炉を、2022年9月から12月にかけて改修する。

2023年9月に京浜地区の上工程(製銑、製鋼)及び熱延設備を休止し、一部製品を除き東日本製鉄所の機能を千葉地区に集約する。

一連の構造改革による収益改善効果は、2020年3月期に比べ累計850億円を想定している。

内訳は、設備休止に伴う固定費の削減等が約600億円、減損に伴う償却費減が約250億円になる。

同社は、より一層のコストダウンに努めると同時に、総合力を発揮して競争力を高める。

競争力の高い商品とそれらの使い勝手を良くする関連装置を供給することで、耐火物だけでなくメンテナンスコストも削減し、省力化を可能にすることをアピールする。

取鍋の溶鋼流量制御に用いられるスライドゲート・プレートは、迅速交換装置であるSST装置の評価が高く、両製品の組合せを売り込む。

高級鋼の精錬では、溶鋼が浸漬管を通って溶鉱炉と脱ガス装置を循環する。

操業の合間に浸漬管の損傷を補修することになるが、同社は速乾性塩基性吹付補修材を開発した。

速乾性のため、浸漬管の補修に際し乾燥待ち時間を短縮でき、製鉄所設備の安定操業に寄与する。

エンジニアリング事業は、予定されている高炉の改修工事などを確実に受注することを目指す。

JFEスチールでは、2022年3月期に工事規模500億円の倉敷地区第4高炉の改修と福山地区第3コークス炉B団の稼働が予定されている。

(2) 海外展開新興国の経済成長に伴い、世界の鉄鋼需要は2018年の18億トンか2050年に27億トンへ増加すると日本鉄鋼連盟は予測している。

経済成長とともにインフラ投資の増加が見込めることから、同社は東南アジアで鉄鋼はもとより、セメント、ガラス、非鉄分野での拡大を目指す。

海外において製造拠点を8拠点、販売拠点を5拠点運営している。

顧客密着体制の強化として、中国に2018年4月に上海事務所を設立。

2019年1月に、台湾事務所を設立し、ブラジルに駐在員を置き、同年4月に豪州にも駐在員を派遣した。

インドでは、グローバルパートナーであるサンゴバン傘下企業とマッド材(高炉出銑口閉塞材)の製造・販売を行う合弁会社を設立した。

当初は、2020年1月の生産開始を予定していたが、コロナ禍により中国からの設備搬入が遅れ、2020年12月に延びた。

これまで、JFEスチールの進出先やグローバルパートナーなどと海外事業を展開してきた。

目標とする海外売上高20%を目前にしており、今後は一定規模以上の海外企業のM&Aなどの戦略が必要な時期に入ったと認識をしている。

(3) 脱炭素社会2020年10月に、菅義偉首相が2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げたことから、政財界で脱炭素社会を目指す動きが活発化している。

経団連がCO2排出量の実質ゼロを提唱する「チャレンジ・ゼロ」構想には、2020年9月現在で154の企業・団体が参加している。

日本製鉄やJFEホールディングスなど鉄鋼業界も参加している。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「環境調和型プロセス技術の開発/水素還元等プロセス技術の開発(COURSE50)」に、神戸製鋼所、JFEスチール、日本製鉄、日鉄エンジニアリング(株)、日鉄日新製鋼(株)(2020年4月に日本製鉄が吸収合併)が参加した。

2008−2017年度に行ったフェーズIでは、要素技術の開発を行い、試験高炉でCO2低減の操業が可能であることを実証した。

フェーズIIが、2018−2025年度の期間で進行中であり、将来に向けた動きが活発化している。

JFEホールディングスは、2030年度のCO2排出量を2013年度比20%以上削減する目標を発表した。

2050年以降の早い時期に、排出量を実質ゼロにする「炭素中立」を目指す。

独自開発技術「フェロコークス」は、低品位の石炭・鉄鉱石から製造される画期的な高炉原料を使用し、内部の金属鉄の触媒作用により高炉で使用するコークス量を大幅に削減する。

製銑工程においてCO2排出量とエネルギー消費量を約10%削減するとともに、低品位原料の利用を拡大する。

西日本製鉄所(福山地区)に製造量300トン/日規模の中規模設備を建設し、2020年10月より試験運転を開始した。

2022年度には、5倍の規模の実機の稼動を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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