日経平均は続伸。
438.34円高の27292.37円(出来高概算4億7000万株)で前場の取引を終えている。
連休明け28日の米株式市場でNYダウは204ドル高と3日続伸し、過去最高値を付けた。
追加経済対策・歳出法案がトランプ大統領の署名により27日に成立し、政府機関の閉鎖が回避されたことへの安心感や景気改善への期待から買いが広がった。
新型コロナウイルスワクチンへの根強い期待も相場を押し上げた。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は0.9%の上昇となり、こちらも過去最高値を更新。
本日の日経平均はこうした流れを引き継いで82円高からスタートすると、朝方には1991年4月以来、およそ29年8カ月ぶりに27000円台を回復した。
その後も上げ幅を広げる展開で、前場中ごろを過ぎると27298.22円(444.19円高)まで上昇する場面があった。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)、ファーストリテ (T:9983)、エムスリー (T:2413)が3%前後上昇しているほか、ソニー (T:6758)、トヨタ自 (T:7203)、東エレク (T:8035)も堅調。
今期業績の上方修正見込みを発表した川崎船 (T:9107)が買われ、米電力大手と水素関連で協業すると報じられた三菱重 (T:7011)は急伸。
また、米子会社と製薬大手ファイザーとの提携を発表した大日住薬 (T:4506)は東証1部上昇率上位に顔を出している。
一方、任天堂 (T:7974)が小安く、JT (T:2914)は配当権利落ちに伴い5%超の下落。
しまむら (T:8227)は決算そのものの評価こそ高いものの、材料出尽くし感からやや売り優勢。
また、グローバルリンク (T:3486)などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、サービス業、陸運業などが上昇率上位。
半面、鉱業、ゴム製品、食料品など4業種が下落した。
東証1部の値上がり銘柄は全体の68%、対して値下がり銘柄は27%となっている。
本年も残すところあと2営業日となったところで、日経平均は節目の27000円を大きく上回ってきた。
前日は12月末の権利付き最終日で、本日からは実質的な新年相場入り。
節税目的の損出し売りは一巡だろう。
そこに米経済対策成立に伴う米国株の上昇が重なった。
米経済対策は失業給付の再延長などを含む内容で、米個人に人気の主要ハイテク株は株価押し上げ効果が期待できる。
とはいえ、ここまでの東証1部売買代金は1兆円にかろうじて乗せた程度で、「日経平均が29年8カ月ぶりに27000円台回復」というヘッドラインがメディアに踊っている割に市場の高揚感はさほど感じられない。
日経平均先物の売買高が前日までよりやや増えていること、指数寄与度の高いソフトバンクGやファーストリテの堅調ぶりが際立つことから、薄商いのなかで日経平均先物に断続的な買いが入ったことが27000円台回復の主因と考えられる。
「仕掛け的な動き」との市場関係者の指摘も多い。
年内の懸案をおおむねクリアしたことで、次の注目イベントは年明け1月5日に予定されている米ジョージア州の上院決選投票となってくる。
ここまでの上院獲得議席は共和党50、民主党48。
ハリス次期副大統領が上院議長を兼ねるため、ジョージア州の2議席を民主党が獲得した場合、大統領、上下院選の全てを民主党が制する「ブルーウェーブ」となる。
増税や規制強化への懸念が再燃する可能性があるが、一方で米トレーダーには(1)世論調査で民主党の2議席獲得の確度が高いと言えるほど支持率に開きがない、(2)仮に民主党が2議席獲得した場合でも、共和党による「フィリバスター(議事妨害)」で増税等は早期実現しにくい、などといった楽観的な見方が多いようだ。
しいて言えばこの楽観ムードこそ最大のリスク要因かもしれない。
年末年始も新型コロナ感染拡大、為替相場の乱高下といった警戒材料はあり、一段の株高を見込んで乗るかどうかは慎重に検討したい。
(小林大純)