■ジャパンベストレスキューシステム (T:2453)の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) 駆けつけ事業駆けつけ事業の売上高は前期比0.5%減の1,489百万円、営業利益は同68.5%減の50百万円となった。
自社運営する生活救急車サイトの集客増と作業単価の上昇が進んだものの、他社サイトやタウンページからの集客が減少したこと、また、下期はコロナ禍における感染対策意識の高まりにより、顧客の作業依頼マインドが低下したことで作業件数が減少し減益要因となった。
主要サービスの作業件数を見るとガラス関連で4千件(前期比1千件減)、水まわり関連で25千件(同4千件減)、カギの交換関連で32千件(同7千件減)、パソコン関連で5千件(同1千件減)となった。
ただ、施工単価について市場と価格乖離のある作業について価格改定を実施したことにより平均作業単価が上昇し、売上高は微減にとどまった。
作業単価の上昇により安定して利益の出せる体制を整えた。
なお、2020年9月期第4四半期に作業単価の低いPC関連のサービスを、業務提携先である日本PCサービス※に業務移管している。
※2020年8月に第三者割当増資を引き受け、持分法適用会社(出資比率22.08%)としている。
集客媒体別の施工割合を見ると、一時期低下していたタウンページ経由が第4四半期に50%を超える水準まで再上昇し、Webサイト経由の比率が下期は低下傾向となった。
これはWebサイトのうち、他社サイトからの集客が競争激化により落ち込んだことが要因となっている。
(2) 会員事業会員事業の売上高は前期比5.4%減の6,059百万円、営業利益は同2.2%増の1,544百万円となった。
売上高は「dリビング」向けサービスを2019年5月に終了した影響で518百万円の減収要因となっており、同要因を除けば約3%の増収であった。
営業利益は不採算サービスが終了したことや、収益性の高い「安心入居サポート」「あんしん修理サポート」「学生生活110番」を中心に会員数が増加したことにより増益となった。
2020年9月期末における会員数は前期末比177千人増加の2,399千人となり、過去最高を更新している。
商品別の内訳を見ると、主力の「安心入居サポート」は前期末比43千人増の913千人と順調に拡大した。
2019年5月で特定顧客からの解約が一巡したほか、不動産賃貸管理会社の販売ネットワークが拡大したこと等により会員数が増加した。
「あんしん修理サポート」は同176千人増の934千人と大幅増が続き、会員数では「安心入居サポート」を上回って最大規模となった。
主力販路であるホームセンター、住宅メーカーでの会員数が増加していることに加えて、2018年9月期から開始した(株)ヤマダ電機の取り扱い店舗が拡大したこと、新たな住宅メーカーで取り扱いを開始したことなどが増加要因となっている。
ただ、同商品は契約期間が5~10年と長期間にわたるため、売上高へのインパクトは小さく、前受収益金として積み上がる格好となっている。
「学生生活110番」も同4千人増の290千人と着実に増加した。
大学生協を通じて取り扱う大学数は209大学と変わりなかったものの、学生の入会率が上昇したものと見られる。
その他のサービスについては、不採算サービスの見直しにより、同47千人減の261千人となった。
(3) 保険事業保険事業の売上高は前期比11.4%増の4,186百万円、営業利益は同5.5%減の338百万円となった。
主力の家財保険「新すまいRoom保険」の被保険者数が販売代理店拡大の効果もあって、前期末比25千人増の226千人と順調に積み上がったことに加えて、第3四半期以降、レスキュー損害保険で「スポーツクラブ傷害保険」や「スマホ保険」(2020年7月)の販売を開始したことが増収要因となった。
一方、利益面ではレスキュー損害保険の保険商品に関する責任準備金の引当て等、立ち上げコスト183百万円を計上したことで減益となっており、同要因を除けば2ケタ増益であった。
「スポーツクラブ傷害保険」は2社と契約したことで、期末時点の被保険者数は264千人となったが、売上高へのインパクトは軽微(四半期で約15百万円)となっている。
また、その他保険商品については前期末比1千人増の59千人となったが、このうち7月より販売を開始した「スマホ保険」で15千人程度となっており、既存商品に関しては14千人の減少になっている。
これは、「dリビング」向けサービスの終了に伴ってオプションの保険商品も解約となったことが主因だ。
「スマホ保険」についてはヨドバシカメラでワイヤレスゲートのWi-Fiサービスとセットで提供されているが、滑り出しが好調で今後の成長が期待できる状況となっている。
(4) リペア事業リペア事業の売上高は前期比28.5%減の265百万円、営業損失は77百万円(前期は34百万円の損失)となった。
収益改善策として、第2四半期までは施工単価の高い宿泊施設等の非住宅分野の受注獲得に注力したことで、平均単価は上昇したものの、第3四半期以降、コロナ禍において宿泊施設や商業施設の需要が冷え込み、また、新築物件向け案件も減少したことが収益悪化要因となった。
なお、本社共通費用を除いたベースでは利益を確保したものと見られる。
(5) ライフテック事業ライフテック事業の売上高は前期比269.7%増の85百万円、営業損失は153百万円(前期は20万円の損失)となった。
不動産賃貸入居者向けの電力販売契約件数が増加したものの、販売費用等の先行コストが増加し営業損失が拡大した。
なお、期末の契約件数は3千件となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)