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コスモ・バイオ Research Memo(5):メーカー機能強化と新市場への展開

発行済 2021-09-03 15:45
更新済 2021-09-03 16:00
© Reuters.
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■コスモ・バイオ (T:3386)の成長戦略

1. 3ヶ年計画の概要
3ヶ年計画(2020年12月期~2022年12月期、経営目標数値は非開示)では、経営ビジョンに「生命科学の研究者から信頼される、事業価値を高める」を掲げ、10年後の姿を見据えた事業戦略として、現在の収益柱である研究試薬卸売に加えて、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開を推進する方針を打ち出している。
新市場への展開では食品や医薬品などの分野での原料供給なども構想している。


具体的には、新たな事業基盤の創出(シーズ探索強化や産学官連携への積極参加などによる新規事業開拓、資本提携・業務提携への取り組み)、商社機能の強化(顧客情報管理と活用、原料供給ビジネスの売上拡大、流通改革対策)、製造機能の強化(新商品・受託サービスの拡充、カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業と鶏卵バイオリアクター事業の規模拡大と収益化の加速)、企業価値の向上(生産性向上・効率化による収益力向上、人材育成など)を推進する。


メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築では、特に2016年12月本格参入したカスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業、及び2019年7月開始した鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を成長ドライバーと位置付けて、両事業の規模拡大と収益化を加速させている。
そして両事業を含む受託サービス全体の売上比率は、2021年12月期第2四半期累計の単体ベース売上高の2割を超える水準まで上昇しているようだ。
メーカー機能強化と高収益化が進展していると言えるだろう。


2. カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業
カスタムペプチド合成・抗体作製サービス事業は、研究者の要望にあった配列のペプチド(アミノ酸が2~50残基程度結合した分子)をカスタム合成する。
新薬(ペプチド医薬品)や新規治療法(ワクチン)の開発につながり、ライフサイエンス基礎研究に欠かせない重要な研究ツールの1つである。
2016年12月に本格参入し、事業規模が順調に拡大している。
さらなる事業拡大に向けて、周辺技術を持つ企業とのアライアンスも推進している。
2017年12月には(株)Proteomedix Frontiersと業務提携し、2018年4月にはAQUAペプチドの配列デザインから合成までの一貫サービスを開始した。
2018年6月にはMJとペプチド創薬支援事業に関して業務提携(2019年4月出資)、2018年9月には名古屋大学発ベンチャーのiBody(株)とモノクローナル抗体スクリーニングサービスに関して業務提携、2018年10月にはエムティーアイ (T:9438)と抗体作製支援システムに関して業務提携、2018年11月にはがん免疫療法開発の(株)Cancer Precision Medicine(オンコセラピー・サイエンス (T:4564))の連結子会社)とペプチド合成に関する委受託基本契約を締結した。
なおエムティーアイとの業務提携でライセンス使用としていたエピトープ解析システム「MODELAGON(R)(モデラゴン)」のソフトウェア資産を2021年1月に譲り受けた。


今後の展開として、機能性ペプチドの製品化をはじめ、受注生産ではないカタログ品のラインアップを強化している。
研究用から一歩踏み出した製造・受託サービスの展開を推進する方針だ。


3. 鶏卵バイオリアクター事業
鶏卵バイオリアクター事業(鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業)は、遺伝子改変ニワトリ(鶏卵の卵白の中に、目的とする有用なタンパク質を大量に生産させるようにゲノム編集した特殊なニワトリ)の鶏卵バイオリアクターを用いて、ユーザーが必要とするタンパク質を安価・大量に製造・精製する。


国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)及び国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同研究を進め、2017年8月ヒトインターフェロンβ製造に関する特許実施権を獲得した。
2018年7月には産総研が、卵白に有用組み換えタンパク質を大量に含む卵を産む遺伝子改変ニワトリを作製する技術の確立を報告している。
2019年6月にはヒトインターフェロンβに限定されない特許実施許諾を獲得した。
2019年7月には大阪大学発ベンチャーのC4U(株)が保有する特許技術「CRISPR/Cas3」をライセンス導入し、ユーザーが必要とするタンパク質を安価・大量に製造できるようになったため、鶏卵バイオリアクターを用いたタンパク質受託製造事業を開始した。
ユーザーニーズに対応して受託製造を本格展開するとともに、将来的には幅広く対応可能な研究用試薬の自社製品としての開発・製造・販売も目指すとしている。


なお2019年10月には日本全薬工業(株)からゲノム編集ニワトリの作製を受託している。
ニワトリが産んだ有用タンパク質(Aタンパク質)を大量に含む鶏卵を納品する。
当面は日本全薬工業の開発用の鶏卵納品だが、将来的に日本全薬工業がAタンパク質を用いた製品を上市する場合は、新たに契約を締結して売上に応じたロイヤリティなどの収益を得られる可能性がある。


今後の展開としては、研究用試薬ではなく、原料供給を主たる目的とした製造への飛躍を目指すとしている。
新市場への展開によって、ボリュームが大幅に増加する原料として大量供給に対する期待が膨らむ。


4. 新たな事業基盤創出に向けた展開
ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場(食品、医薬品などの分野)への展開も見据え、新たな事業基盤の創出に向けて資本提携・業務提携も推進している。
2018年4月には、生体内の標的とするタンパク質の分解を誘導することにより新規医薬品の研究開発を行うファイメクスに出資した。
2018年6月には学校法人麻布獣医学園と、麻布獣医学園の出願特許「アミロイドタンパク質を抽出する試薬」に関する実施許諾契約を締結した。
アミロイドという線維構造を持つタンパク質だけを選別して抽出できる画期的な技術であり、本技術を用いてアルツハイマー病などの研究に極めて重要なツールを提供する。
また、2021年の新商品として、大学発シーズをもとに「ペプチドタイプのタンパク質導入試薬」を製品化して販売開始した。


5. 中期的に収益拡大・高収益化期待
10年後の姿を見据えた事業戦略として、メーカー機能を中心とする第2の収益柱の構築、ライフサイエンスをベースとした研究試薬以外の新市場への展開を推進する方針を打ち出している。
新市場への展開では食品や医薬品などの分野での原料供給なども構想している。
カスタムペプチド・抗体作製サービス事業、及び鶏卵バイオリアクター事業を中心とする自社製造・受託サービスが成長ドライバーとなり、中長期的に収益拡大・高収益化が期待される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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