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プラッツ Research Memo(6):2021年6月期の業績は、経常利益が2期前倒しで目標値を達成するなど急成長

発行済 2021-10-06 15:16
更新済 2021-10-06 15:45
■業績動向

1. 2021年6月期の連結業績概要
(1) 業績概況
プラッツ (T:7813)の2021年6月期の売上高は前期比15.4%増の7,040百万円、営業利益が同29.6%増の724百万円、経常利益が同31.6%増の873百万円と大幅な増益を達成した。
親会社株主に帰属する当期純利益は、訴訟損失引当金繰入額(506百万円)を特別損失に計上したため、同39.8%減の305百万円となった。
期中平均為替レートは、1米ドル当たり106.57円と前期比1.57円の円高であった。
第3四半期決算発表時予想との比較では、売上高が0.8%減、営業利益が9.4%減、経常利益が2.9%減、親会社株主に帰属する当期純利益が2.0%増となった。
第1四半期決算時に発表した通期予想(売上高6,200百万円、営業利益660百万円、経常利益700百万円、当期純利益150百万円、1株当たり配当金20.0円)を、第2四半期と第3四半期の決算発表時に増額修正した。
コロナ禍による市場の変化を察知し、第1四半期から柔軟な営業活動をしたことが奏功した。
最終的な期末の1株当たり配当金は32円となった。


営業利益の増減要因は、増加要因が売上高の増加による382百万円と利益率向上による3百万円、減少要因が販管費の増加による219百万円であった。
販管費では、物流費などの変動費が増加した。


(2) 販売先市場別売上高
2021年6月期の医療介護用電動ベッドの総販売台数は前期比15.8%増の5.7万台となった。
市場別売上高動向は、コロナ禍の影響の度合いにより異なった。
2020年4月に第1回目の緊急事態宣言が発出されて以降、経営が悪化した医療機関とクラスターの発生が憂慮される高齢者施設向けは、同社及び代理店とも営業活動が制約された。
一方、在宅用の福祉用具流通市場は、2020年7月以降に需要が持ち直した。
営業活動を強化した福祉用具流通市場においては、主力の介護用電動ベッド「Miolet III」の拡販が図れ、売上高が売上高が前期比14.8%増の5,451百万円となった。
医療・高齢者福祉施設市場は同22.8%増の1,269百万円となった。
医療機関向けは、コロナ禍で病院経営が悪化しているため伸び悩んだが、介護施設向けが盛り返した。
3年前から営業部門を強化しており、その成果が現われた。
家具流通市場は国内人口の減少を受けて年々縮小傾向にあり、売上高は同4.8%増の134百万円であった。
海外市場の売上高は同3.0%増の184百万円となった。
2019年は主力の中国市場で高齢者施設の案件が活発化したが、2020年に入りコロナ禍で下火となった。
それに応じて、貸与事業者への販売に注力した。


(3) 特別損失 − 訴訟損失引当金繰入
2017年7月に、パラマウントベッド(株)(パラマウントベッドホールディングス (T:7817)の子会社)は、同社に対し特許侵害の訴訟を起こした。
3件の特許権を侵害しているとし、損害の一部の支払と販売中のベッド「ラフィオ」シリーズの販売差止を求めた。
請求金額は、当初550百万円であったが、2020年6月に1,299百万円に変更してきた。
2020年9月に、東京地方裁判所はパラマウントベッドの請求を一部認容し、381百万円及びその遅延損害金を支払う旨の判決を言い渡した。
ただし、「ラフィオ」の販売差止の申し立ては退けられた。
この判決を受け、同社は2021年6月期第1四半期に請求額及び遅延損害金ならびに弁護士費用等の見込額を訴訟損失引当金繰入額として491百万円を特別損失に計上した。
通期の特別損失は506百万円であった。
両社とも、判決を不服として、知的財産高等裁判所に控訴した。
今後、同社の主張が認められれば、引当金からの繰り戻しが特別利益に、反対に支払う損害金が増えれば特別損失を新たに計上することになろう。


2. 財務状況と財務比率、キャッシュ・フロー
(1) 財務状況
2021年6月期末の総資産は6,213百万円と前期末比1,080百万円増加した。
流動資産が820百万円、固定資産が260百万円増加した。
流動資産は、現金及び預金と受取手形及び売掛金が増加し、たな卸資産が減少した。
長短有利子負債額は、同590 百万円増の2.142百万円であった。


(2) 財務比率
医療・介護用ベッドの主要上場3社であるパラマウントベッドホールディングス (T:7817)、フランスベッドホールディングス (T:7840)と同社の直近期における財務比率を比較した。
企業業績の総合的財務比率であるROE(自己資本当期純利益率)は、同社が11.0%と最も高く、パラマウントベッドホールディングスが7.8%、フランスベッドホールディングスが6.1%と事業会社が一般的に目標とすべき8%に達していない。
同社のROA(総資産経常利益率)が15.4%と前期より上昇したが、ROEは特別損失を計上したため売上高当期純利益率が悪化し前期よりも低下した。
それでも10%超の水準を維持した。


ROEは、収益性(売上高当期純利益率)、回転性(総資産回転率)と財務レバレッジの3要素に分解される。
3社の中で、同社のバランスが最も良い。
パラマウントベッドホールディングスは、売上高当期純利益率が9.9%と極めて高いものの、自己資本比率が73.7%と高く、財務レバレッジが低い。
総資産回転率は、同社が1.24回と望ましいとされる1回以上をクリアーしているものの、パラマウントベッドホールディングスが0.58回、フランスベッドホールディングスが0.86回にとどまる。
パラマウントベッドホールディングスの回転性の低さは、大きな流動資産に起因する。
流動比率は、パラマウントベッドホールディングスの363.2%が図抜けており、同社が230.6%、フランスベッドホールディングスが181.1%となる。
本来は安全性比率であるが、資産効率の観点から現預金月商倍率を見る。
業種にもよるが、大企業が1ヵ月、中小企業は1.5ヵ月が目安となる。
同社の現預金月商倍率は2.6ヵ月であった。
他の2社は流動資産に有価証券が記載されているため、現預金と有価証券を合算し手元流動性月商倍率を算出した。
パラマウントベッドホールディングスは実に6.7ヵ月に上る。
フランスベッドホールディングスは2.9ヵ月である。


(3) キャッシュ・フロー
2021年6月期末の現金及び現金同等物の残高は1,544百万円と前期末比34百万円増加した。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1百万円の出金であった。
入超が税金等調整前当期純利益、減価償却費、訴訟損失引当金などで、出超は売上債権の増加額、持分法による投資利益やその他になる。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が少額であるため、22百万円の出金となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、79百万円の入金になった。
長期借入金の返済による支出151百万円、配当金の支払額149百万円、自己株式の取得による支出310百万円等による減少と、長期借入れによる収入700百万円による増加。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

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