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日経平均は小幅続伸、上昇後尻すぼみ、米株高を素直に好感できず

株式2021年10月20日 12:15
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© Reuters.

 日経平均は小幅続伸。
45.99円高の29261.51円(出来高概算6億0037万株)で前場の取引を終えている。


 19日の米株式市場でのNYダウは198.70ドル高(+0.56%)と反発。
医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソンや保険のトラベラーズなどの好決算が好感されたほか、NY原油先物価格の上昇一服感も手伝い終日堅調に推移。
米10年債利回りは1.64%と約5カ月ぶりの高値水準を記録したものの、ハイテク企業への決算期待が相殺し、ナスダック総合指数も0.71%高と5日続伸。
米株高を好感し、東京市場でも半導体関連株を中心に買いが入り、日経平均は170.43円高でスタート。
香港株の上昇も追い風に、前場中頃には29489.11円(273.59円高)まで上値を伸ばした。
しかし、29500円手前では戻り待ちの売りも強く、その後はもみ合いが継続、前引けかけては中国株の失速もあり急速に上げ幅を縮める展開となった。


 個別では、傘下ファンドの投資先である米ウィーワークの上場決定の報道を材料にソフトバンクG (T:9984)が大きく上昇。
米長期金利の上昇を受けて三菱UFJ (T:8306)や三井住友 (T:8316)などのメガバンクも買われている。
そのほか、東証1部売買代金上位では、ソニーG (T:6758)、ファーストリテ (T:9983)、武田薬 (T:4502)が堅調、日立 (T:6501)、キヤノン
(T:7751)のほか、JAL (T:9201)、ANA (T:9202)、JR東 (T:9020)、JR東海 (T:9022)などのアフターコロナ関連銘柄が大幅高となっている。
また、米国初となる暗号資産(仮想通貨)ビットコインに連動した上場投資信託(ETF)の取引開始を刺激材料にマネックスG (T:8698)が急伸。


 新マグネシウム合金圧延材を共同開発した日本金属 (T:5491)は急伸し、1部値上がり率トップに躍り出ている。
業績予想の上方修正や増配を発表したソフトクリエ (T:3371)、大阪ソーダ (T:4046)などもそれぞれ急伸し、値上がり率上位に並んでいる。
そのほか、証券会社のレーティングを材料にコーセー (T:4922)、ミライトHD (T:1417)なども上昇。


 一方、米当局による車両点検の緊急勧告の可能性が伝わった川崎重 (T:7012)、中国商品取引所での石炭価格の下落が売り材料視された三井松島HD (T:1518)がそれぞれ急落し、1部値下がり率上位に並んでいる。
業績予想を下方修正したリョービ (T:5851)、証券会社の格下げ観測があったバリューコマース (T:2491)なども売られている。
なお、1部売買代金上位では、任天堂 (T:7974)、川崎汽船 (T:9107)、ベイカレント (T:6532)、SUMCO (T:3436)
などが大きく下落している。


 セクターでは空運業、陸運業、証券・商品先物取引業などが上昇率上位となっている一方、その他製品、海運業、ゴム製品などが下落率上位に並んでいる。
東証1部の値上がり銘柄は全体の42%、対して値下がり銘柄は50%となっている。


 日経平均は上値抵抗線と見られていた25日移動平均線を突破し、チャート形状は一段と改善した。
企業決算への警戒感が高まっていたなか、米国企業のこれまでの決算が総じて市場予想を上回る好内容だったことで、投資家心理が改善してきている様子。
NYダウやS&P500種株価株価指数のチャート形状もかなり改善し、再び史上最高値を窺う位置にまで回復してきた。


 ただ、国内の企業決算が本格化するのは来週後半からで、ちょうど時期が重なる月末の衆院選投開票結果に対する不透明感もあり、一段と上値を追う動きには至っていない。
フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の大幅上昇を背景に朝方大きく上昇していた東エレク (T:8035)など半導体関連株も寄り付き後は失速し、上げ幅を縮める動きとなっている。
個別株で大きく上昇しているものは多くなく、短期筋による散発的な先物買いで指数だけが先行して上昇していた印象だ。


 また、これまでの米国企業の好決算も、日本株にとって過度にポジティブには捉えにくい。
これまでの企業決算は大手投資銀行や保険大手、医薬品関連など米国内経済との結びつきが強いものが大半。
原油高や供給網混乱などの影響が懸念される製造業を中心とした日本企業の業績に直接示唆を与えるようなものではない。


 他方、前日に発表された米消費財メーカーのプロクター&ギャンブル(PG)の決算では、商品価格や輸送費の上昇による通期計画への下押し圧力に言及があり、株価は下落した。
日本株にとってはこちらの方が示唆深いだろう。
また、日本企業については、資源価格や輸送費の上昇に加え、急速に進展する円安も相まってコスト増に対する懸念が特に強い。
東証1部全体の売買高が停滞気味であるところを見ても、7-9月期決算と下期に対する見通しを確かめるまでは、明確に強気に転じることはできそうにない。


 また、約5カ月ぶりの高値を記録した米長期金利の上昇も気懸かり。
米10年債利回りは19日、1.64%と、1.59%から大きく上昇。
一方、米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.54%と横ばいで高止まり。
インフレ懸念や来年からの米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げなどを織り込む形で、米国債が売られる状況が続いていると思われるが、BEIが高止まりの一方で米長期金利が上昇を続けると、実質金利の上昇を通して株式相場の重しとなりかねない。
3月に付けた1.78%水準にはまだ距離があるが、米長期金利の上昇ペースには改めて警戒しておきたい。


 むろん、供給網の混乱や商品市況高など供給サイドに基づく金利上昇でなく、企業業績や景気回復を反映した良い金利上昇であれば、長期的には株式市場への影響もポジティブなものとなる。
それでも、金利上昇ペースの速さや実質金利上昇の短期的な悪影響には警戒が必要だろう。
また、商品市況が高止まりしている中、今の金利上昇が素直に景気回復を映したものと捉えてよいかどうかを判断するには時間がかかろう。


 日経平均は、決算シーズンを一巡するまでは当面3万円の大台を回復することは難しいとみられ、29500円手前での一進一退が続きそうだ。
しばらくは、上昇したところは売り、下がったら押し目買いの逆張り戦略が奏功しやすい環境が続くとみる。

日経平均は小幅続伸、上昇後尻すぼみ、米株高を素直に好感できず
 

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