[ソウル 28日 ロイター] - 韓国のサムスン電子は28日、第4・四半期は部品不足が一部顧客の半導体需要に影響するとの見通しを示した。併せて発表した第3・四半期決算は利益が3年ぶりの高水準となった。
第3・四半期決算は、営業利益が前年同期比28%増の15兆8000億ウォン(134億8000万ドル)。半導体の収益性が高まり、ここ3年間で最高の四半期決算となった。
同社が今月示していた見通しと一致した。前年同期は12兆3500億ウォンだった。
半導体事業の利益は82%増の10兆1000億ウォン(86億2000万ドル)。メモリー半導体の価格上昇や出荷増に加え、半導体受託生産事業の収益性が高まったことが寄与した。
一方、モバイル事業の営業利益は約24%減の3兆3600億ウォン。折り畳み式スマートフォンの新モデルの販売はマーケティング費用や部品コストに圧迫された。
売上高は10%増加して過去最高の74兆ウォンとなった。見通しは73兆ウォンだった。
純利益は31%増の12兆3000億ウォン。
サムスンは声明で、メモリー半導体を使用する機器の製造に潜在的な影響があるとして「想定以上に長引いている部品の供給問題を注視する必要があるかもしれない」と指摘。ただ、「テクノロジー企業による投資拡大でサーバーに対する堅調な需要がある」と説明した。
メモリー事業のハン・ジンマン副社長は「『正常への回帰』効果、部品供給、原材料価格上昇を含む、さまざまなマクロ問題を背景とする大きな不透明感がある」と指摘。「しかし、部品供給問題は絶対的な供給不足というよりむしろサプライチェーン(供給網)管理のミスマッチに端を発しているように思える。そのため、状況は来年下半期から改善する可能性がある」と述べた。
データの一時記憶に使うDRAMとデータストーレージ市場向けのNAND型フラッシュメモリーの需要は、データセンターへの投資拡大で第4・四半期も堅調に推移すると予想。一方、パソコン生産の伸びは前四半期と同程度になると見込んでいる。
第4・四半期にサプライチェーンの問題で一部のモバイル向け半導体の需要が制限される可能性があるものの、サーバーやパソコン向け半導体の需要は2022年に不確実性はあるが堅調に推移するとの見通しを示した。
サムスンは、メモリー半導体価格の下落は懸念要因としては大きくないと指摘。今や半導体はパソコンだけではなく幅広い機器で使用されており、周期的な価格変動は従来よりも小さく短くなっているためだとした。半導体メーカーも無駄がない在庫水準を抱えており、低価格での売却を迫られることなく在庫を積み上げる余地がある。
投資家は、メモリー半導体価格は第3・四半期にピークに達し2022年半ばまで下落すると予想。投資家の価格見通しにサムスンの株価は圧迫されている。
ケープ投資証券のアナリスト、Park Sung-soon氏は「メモリー半導体価格見通しでは半導体メーカーと市場の間で明白なギャップがあるようだ。各社は低価格で半導体を売らないとの意思を表明している。しかし、サーバー向け半導体の需要ですら現時点で保証されていない。部品供給問題はそれらにも影響しているためだ」と語った。
アナリストらはサムスンの第4・四半期利益について、第3・四半期と同程度か下回る水準になると予想。半導体メモリー価格に大部分が左右されると見ている。
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