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日経平均は続落、インフレ不満からFRB人事が重み増しそう

発行済 2021-11-18 12:17
更新済 2021-11-18 12:30
 日経平均は続落。
236.92円安の29451.41円(出来高概算5億7000万株)で前場の取引を終えている。


 17日の米株式市場でNYダウは反落し、211ドル安となった。
過去最高値に迫り利益確定の売りが出たほか、クレジットカードのビザが大きく下落してNYダウを押し下げた。
また、引き続き世界のインフレ高進や新型コロナウイルス再流行への懸念もくすぶり、ナスダック総合指数など主要株価指数は揃って反落。
本日の日経平均はこうした流れを引き継いで90円安からスタートすると、29500円近辺では押し目買いも入り、前場中ごろまで軟調もみ合いが続いた。
しかし、香港ハンセン指数や上海総合指数の軟調な出足を受けて一段と弱含み、前引けにかけて29402.57円(285.76円安)まで下落する場面があった。


 個別では、バルチック海運指数やNY原油先物相場の大幅下落を受け、郵船 (T:9101)、川崎船 (T:9107)、商船三井 (T:9104)といった海運株やINPEX (T:1605)が大幅安。
認知症治療薬に対する欧州当局の否定的見解が嫌気されたエーザイ (T:4523)は9%近い下落となっている。
レーザーテック (T:6920)、ソフトバンクG (T:9984)、東エレク (T:8035)、ファーストリテ (T:9983)、トヨタ自 (T:7203)も軟調。


 また、エイチーム (T:3662)などが東証1部下落率上位に顔を出している。
一方、リクルートHD (T:6098)が堅調で、キーエンス (T:6861)や任天堂 (T:7974)は小じっかり。
サイバー<
4751>は6%超の上昇。
また、特別利益計上と自社株買い実施を発表したメガチップス<
6875>や、オーケーが株式公開買付け(TOB)再提案の可能性を示唆した関西スーパ (T:9919)は東証1部上昇率上位に顔を出している。


 セクターでは、鉱業、海運業、石油・石炭製品などが下落率上位。
一方、サービス業、精密機器、機械などが上昇率上位だった。
東証1部の値下がり銘柄は全体の70%、対して値上がり銘柄は25%となっている。


 海外株安が重しとなり、本日の日経平均も3ケタの下落で前場を折り返した。
日足チャートを見ると、29600円台に位置する5日移動平均線を寄り付きから下回り、29500円近辺でいったん下げ渋ったとはいえ、アジア株安が重しとなってここを割り込んできた格好。
原油・海運市況の急落で関連セクターの下げが目を引くが、日経平均への寄与が大きいソフトバンクGやファーストリテの軟調ぶりもやや目立つあたり、日経平均先物にまとまった売りが出ている可能性がある。


 一方、決算発表後に売られていたリクルートHDを中心に、グロース(成長)株の一角がしっかり。
ここまでの東証1部売買代金は1兆3000円あまりで、29500円近辺での攻防が見られた割にやはり膨らんでいない。


 新興市場ではマザーズ指数が-1.02%と続落。
今週前半は新興株への物色シフトを背景に強い値動きだったが、本日は日経平均にやや先行する形で前場中ごろを過ぎると軟化してきた。
相変わらず大幅高となっている銘柄も散見されるが、一昨日の当欄で取り上げたアスタリスク (T:6522)は信用取引規制の強化を受けて急落。
アスタリスクに限らず回転売買による上値追いが強烈だった銘柄は少なくなく、反動に警戒しておく必要があるだろう。
なお、本日マザーズ市場に新規上場したGRCSは公開価格の1.5倍ちょうどで初値を付けた。
上場前株主の売却制限(ロックアップ)解除ラインがメドと受け止められたのだろうが、このところ初値伸び悩みが続いていただけに安心感のある結果。
その後もおおむね初値を上回って推移しているが、引けにかけての値動きを注視したい。


 さて、前日の米市場では期待インフレ率の指標である10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)が2.70%(-0.03pt)と続落し、10年物国債利回りも1.58%(-0.05pt)と反落した。
前述のとおりNY原油先物相場は急落。
米国が中国に対して原油の戦略備蓄の放出を要請したと伝わったほか、欧州で新型コロナ感染状況が悪化するなどして需給緩和が意識されたようだ。
もっとも、インフレ高進への懸念が払しょくされたとは言えない。


 前日発表の米10月住宅着工件数は年率換算で前月比-0.7%となり、市場の増加予想に反し、減速を示すものとなった。
供給制約や住宅価格高騰の影響が響いたとみられている。
直近の米経済指標を振り返ると、11月のミシガン大学消費者マインド指数は住宅着工件数と同様に予想外の悪化。
一方で10月小売売上高は予想を上回る増加となった。
強弱まちまちの経済指標が示しているのは、まさに一昨日の当欄で指摘した
「経済的な分断」かもしれない。


 10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)が約30年ぶりの大幅な伸びとなったことを受け、バイデン米大統領はすかさず「物価抑制は最優先課題」などとアピールした。
来年の中間選挙を前に、インフレへの不満が政権の懸念材料となっていることが読み取れる。
となると、週内にも決定するという米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事が一段と重みを増してきたと考えられる。
現在、有力視されているのはパウエル議長の再任かブレイナード理事の昇格。
ブレイナード氏はハト派的とみられているが、バイデン政権は次期トップにより踏み込んだインフレ対応を求める可能性がある。


 日本でも前日あたりから再び金融所得課税の強化を巡る報道を目にするようになり、株価の重しになっているとみられる。
政府・与党は来年度税制改正大綱で重要な
「検討事項」に明記する方針という。
再三指摘しているとおり、やはり日経平均の3万円台回復は近くて遠そうだ。

(小林大純)

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