[東京 26日 ロイター] - 26日午前の東京株式市場で、日経平均は前営業日比719円65銭安の2万8779円63銭と急反落した。南アフリカで検出された新型コロナウイルスの新たな変異株が警戒され、主力銘柄を中心に売りが加速した。日経平均は2万9000円、TOPIXは2000ポイントの心理的な下値抵抗線を割り込んだ。
南アフリカの専門家らは25日、少数ながら新型コロナウイルスの新たな変異株を検出したと発表した。この変異株は「B.1.1.529」と呼ばれ、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性がある。
これが嫌気され、短期筋のロスカットが活発化。時間外取引で米株先物が軟化し、急速に投資家のマインドが悪化した。「米国では感謝祭で海外勢が少ない中、投機的な売りも重なって下げ幅が拡大したようだ」(三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏)という。
さらに、市場では「変異株を嫌気した売りに加え、国内の政策について物足らず、日本株のモメンタムは弱いと感じた海外投資家のポジション整理の売りも出ている」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏)との声も聞かれた。
TOPIXは1.89%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は1兆3740億4800万円だった。東証33業種では、全業種がマイナス。個別では、トヨタ自動車など主力株が総じて軟調。ソフトバンクグループも大幅な下げとなっている。半面、規模が大きい自社株買いの実施を発表した住友大阪セメントが逆行高した。
東証1部の騰落数は、値上がりが161銘柄、値下がりが1976銘柄、変わらずが43銘柄だった。