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アンジェス Research Memo(3):新型コロナウイルス感染症ワクチンは高用量製剤による追加試験の投与が完了

株式 2021年12月06日 15:30
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■新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬の開発状況

1. 新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発状況
新型コロナウイルス感染症ワクチンについては、2020年12月以降、欧米などで米ファイザー (NYSE:PFE)やモデルナ〈MRNA>、イギリスのアストラゼネカ (NASDAQ:AZN)など大手製薬企業の開発した製品の承認が相次ぎ、集団接種が進んでいる。
国内においてもこれらのワクチンが相次ぎ承認され高齢者から接種が進んでおり、2021年11月10日時点では全人口の約74%が2回接種を終えている(65歳以上の高齢者は約91%)。
ただ、海外では変異株により感染が再拡大している国もあり、収束したとは言えない状況にある。
このため、政府では国内での感染拡大を抑止するために、12 月より3回目のワクチン接種を開始することを決定した。
ワクチンの需要は今後も続く見通しであり、国産ワクチンを保有しておく必要があることから、アンジェス (T:4563)を含めて複数の企業が国からの補助金も得ながら開発を進めている状況にある。


同社では2020年3月より大阪大学と共同で開発しているプラスミドDNA※1製法を用いたワクチンの開発を進めている。
同ワクチンは、新型コロナウイルスの遺伝子をプラスミドに挿入し、このプラスミドを大腸菌で大量培養した後にDNAを抽出して製剤化する。
無害化されたDNAワクチンを投与することで、新型コロナウイルスに対する免疫(抗体)※2を作り、感染症の発症や重症化を防ぐことが可能となる。


※1 プラスミド(plasmid)とは、大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称。
一般的に環状の2本鎖構造を取り、染色体のDNAからは独立して複製を行う。
その独立した遺伝子複製機構から、遺伝子組み換え操作のベクターとして創薬などで利用されている。
このプラスミドを大腸菌に導入し、大腸菌の大量培養により目的のDNAを増幅する。
プラスミド製法では、HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」が上市済みであり、安全性は確認されている。

※2 ウイルスや細菌などの抗原が体内に入り込んだとき、そのたんぱく質に反応し、体から追い出すためにできる対抗物質。



現在の開発状況については、2021年8月より高用量製剤を用いた第1/2相臨床試験を開始しており、同年11月10日付で目標症例数400症例の接種を完了したことを発表している。
また、2020年に実施した第1/2相臨床試験および同年12月より開始した第2/3相臨床試験(予定症例数500例)の結果についても11月5日付で発表しており、それぞれの臨床試験において安全性は確認できたものの、有効性については期待する効果が得られなかったこと明らかにしていた。
このため現在進めている高用量製剤を用いた臨床試験により先行品と同等程度の有効性が確認できれば、第3相臨床試験に進むことになる。
ただ、同試験はアジア地域でのワクチン接種も含めて3~4千人規模の症例数が想定されており、多額の開発費用を要するため国の補助金または製薬企業とのアライアンスによる資金面でのサポートを得られることが必要となってくる。
また、現在実施している臨床試験の主要評価項目である免疫原性の測定は海外の専門会社に委託しているが、コロナ禍で当該会社も繁忙が続いているようで、最終的な結果が判明する時期については未定となっている。


なお、現在実施している第1/2相臨床試験では、接種方法として筋肉内接種に加えて新たに皮内接種も実施した。
皮内接種は筋肉内接種よりも少ない投与量で同等程度の効果が得られる可能性があり、今回、試験することになった。
皮内接種のデバイスはダイセル (T:4202)が開発する薬剤送達デバイス「アクトランザTMラボ」を用いている。
火薬を駆動力とするため、針を用いることなく薬剤を接種することが可能となる。
1回当たり用量や接種間隔・回数を5つにグループ化し、それぞれ80例の試験を実施している。
筋肉注射の合計接種量は、第2/3相臨床試験では4mgであったものを、今回は6mg、8mg、16mgに増量している。
一方、皮内接種では合計投与量が2mg、3mgと前回よりも多い接種量での試験となる。
皮内接種で良いデータが得られれば、薬剤コストも低減できることになり、その結果が注目される。
なお、現在開発を進めているワクチンは、PMDAのガイドラインにもとづき、当初中国で感染拡大した武漢型と呼ばれるものに対応したものとなるが、変異株についてもプラスミドに導入する遺伝子を変えるだけで済むため、比較的迅速に開発することは可能となっている。


現在のワクチンの開発や量産体制構築に向けた費用については、国の補助金等で賄われている。
具体的には、AMEDが2020年5月に公募した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に採択され、研究開発費20億円(直接経費、研究開発期間:2020年6月−2021年3月)の支援を受けているほか、厚生労働省が公募した「令和2年度ワクチン生産体制等緊急整備事業」にも同年8月に採択され、約93億円の交付金(事業期間:2020年8月−2022年3月)を受けて、タカラバイオ (T:4974)が中心となって大規模生産体制の構築を進めている。
さらに、AMEDが公募した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」(2次公募、研究開発予定期間:2020~2021年度目途)にも同年8月に採択されている(金額は非開示)。
これら補助金については、AMED及び厚生労働省から一部が入金されており、2021年9月末時点で前受金として6,534百万円を貸借対照表上に計上している。
期間損益上では研究開発費として計上しているが、今後、同社が提出したプロジェクトの報告書の審査をAMEDや厚生労働省等で行い、適切と認証された時点で補助金収入として営業外収益に計上されることになっている。
その一部として2020年度分のプロジェクト報告書を提出して審査が行われ、2021年12月期に1,400百万円が営業外収益として計上されることとなった。


なお、同社のワクチン共同開発プロジェクトについては、多くの企業が参画している。
ワクチンの製造に関してはタカラバイオをはじめ、Kaneka Eurogentec S.A.、AGC Biologics S.p.A.、シオノギファーマ(株)、Cytivaなどが大規模治験に向けた体制整備に取り組んでいる。
また、次世代ワクチンの開発についても前述したダイセルの薬剤送達デバイスのほか、様々な研究開発が行われている。
変異株に対する効果の高いDNAワクチンの開発についても、共同開発先の大阪大学で取り組んでいる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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