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明豊ファシリ Research Memo(3):「フェアネス」「透明性」を企業理念として掲げるCM業界のパイオニア(2)

発行済 2021-12-21 15:03
更新済 2021-12-21 15:15
© Reuters.

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■事業概要

3. 明豊ファシリティワークス (T:1717)の強み
CM事業者にとって競争力の源泉は人材となる。
特に大規模プロジェクトに対応するためには、各工程において施主側に立ち、設計要件の整理やコスト管理・審査ができる専門家や工期管理などトータルマネジメントができる人材、大手施工会社や設計事務所などとの交渉において対等に渡り合える経験やノウハウを持ち合わせた人材をどれだけそろえているかが重要となる。


同社は、建設会社や施工会社、設計事務所など実際の現場を経験した人材を中途採用により厳選して獲得しており、建設プロジェクトの基本計画策定からコスト見積り・工期管理まですべての工程におけるプロフェッショナル集団とも言える。
CM事業を先駆けて展開してきたことで、業界内でのブランド力も向上しており、こうした専門的なスキルを持つ人材を多数そろえていることが同社の強みとなっている。
特に、公共分野のプロポーザル方式によるCM案件では、評価基準の1つとしてCCMJ(認定コンストラクション・マネジャー)の保有資格者をどの程度配置しているかが含まれており、重要な指標となっている。
同社は2021年10月末時点で87名のCCMJが在籍しており、独立系CM事業会社としては最大規模となっている。


また、社員一人ひとりが経営理念である「フェアネス」と「透明性」を心掛け、顧客からの信頼を獲得してきたことが、同社の成長の原動力になっている。
社員数237名(2021年9月末時点)の企業規模において、新規顧客の開拓、特に大規模案件の開拓は一般的に困難だが、同社は既存顧客のうち9割近くがメーカーや金融機関、学校・医療法人、地方自治体を含めた大企業や公共体で占められており、新規顧客もその大半を既存顧客からの紹介によって獲得している。
受注金額に占める既存顧客の比率はここ数年、70%台で推移しているが(2021年3月期第2四半期累計はコロナ禍で新規受注活動が制限されたため79%と高い)、これは同社のCMサービスを利用した企業から継続してプロジェクトの依頼を受けているためで、顧客からの信頼性の高さの裏付けともなっている。
また、LEGOLAND Japan(同)やSAPジャパン(株)、ロシュ・ダイアグノスティックス(株)、リフィニティブ・ジャパン(株)など大手外資系企業の日本拠点の案件を多く手掛けていることも特徴となっている。


一方で、同社は信頼関係の構築に関して、顧客だけでなく利害関係者となる元請けの建設会社とも良好な関係を構築している。
最近では、着工後における施工者からの改善提案など、施主側が理解し難い専門的な検討事項についても、同社が間に立って施主に丁寧に説明することで、スムーズに話が進むといった点が高く評価されている。
利害関係者からであっても真に顧客の役に立つ提案については真摯に向き合う「フェアネス」「透明性」の基本方針が、顧客に対してだけでなくすべての関係者に対して実践されている証左と言える。


4. 事業セグメントの内容
同社の事業セグメントはCMサービスの提供目的によって、「オフィス事業」「CM事業」「CREM(コーポレート・リアルエステート・マネジメント)事業」の3つに区分しているほか、2022年3月期より新たに「DX支援事業」を追加している。
なお、同社は各社員が複数の事業案件にマルチに対応できる柔軟な体制を構築しており、各事業における顧客ニーズの多寡に応じたプロジェクトへのアサインを調整している。
発注者支援事業の普及により、多様な専門性が求められる案件がほぼ毎期発生しており、全社横断型でマルチに対応し、その習熟の結果として生産性を早期にアップすることを繰り返していることが、同社の特徴であり強みでもある。


(1) オフィス事業
オフィス事業は、オフィスの移転・新設・改修を計画している企業に対して、計画の構想段階から移転先ビルとの適合性確認や設計、オフィス家具・設備の調達、工事、引越しまでをワンストップサービスで提供する事業となる。
同分野は競争も激しいことから、同社の強みが発揮できる難易度の高い事業所移転(大規模な新築ビルの竣工時同時入居プロジェクト等)を中心に展開しており、最近では、自社で実践してきたノウハウを生かして「働き方改革」の構想策定から定着支援までを行うサービスも提供している。
受注契約としては多工種にまたがるため、顧客メリットを踏まえて、2020年3月期までは一括請負型の「アットリスクCM方式」で受注するケースもあったが、2021年3月期以降は「ピュアCM方式」にてサービスを提供している。


(2) CM事業
CM事業は、対象マーケット規模の大きさから同社のなかで最も成長ポテンシャルの高い事業となる。
建物の新築・改修・改築や空調・電気設備の更新などに関して、施主の要望を整理して基本計画を策定し、プロジェクトの早期立ち上げ支援を行う上流工程と、その後、施主側に立って、設計・調達・施工等各工程における品質管理やコスト管理などを行い、工事費用やスケジュール管理が適正に行われるようマネジメントする下流工程がある。
上流工程のみ参画するケースや下流工程のみ参画するケース、すべての工程を担当するケースと案件によって様々だが、同社のCM業務に対する評価の高まりを受け、ここ数年は上流工程からプロジェクトに参画するケースが全体の7割以上にまで増えてきている。
受注契約方式は総工費が大きくなるため、「ピュアCM方式」での契約となる。


(3) CREM事業
CREM事業では、金融機関や大企業を中心に保有資産の最適化を支援するサービスを提供している。
具体的には、顧客が保有する多拠点施設の新築・改修において、CM手法を用いて工事コストの削減を図るほか、同社が開発したMeiho Project Management System(以下、「MeihoPMS」)上で保有資産をデータベース化し、資産情報の一元管理を行うことによって、複数年にわたる改修プロジェクトを効率的に進め、工期の短縮化や予算執行の平準化を実現するサービスとなる。
このため、同事業は複数年契約となるケースが多く、ストック型のビジネスモデルに近い。
顧客は大企業が多くを占めるが、最近では施設の老朽化が進んでいる自治体からの案件も受注するようになってきている。
また、複数年にまたがるプロジェクトが多いため、CREM事業を通じて新規プロジェクト案件の情報も得られるようになってきており、CM事業やオフィス事業への橋渡し的な位置付けにもなっている。


そのほか同事業では、既存施設の耐震診断や環境・省エネ問題に対応するライフサイクルマネジメント※1に関するサービスなども行っている。
特に、環境・省エネに対するニーズはESG/SDGsへの関心が高まるなか、また、政府が示した脱炭素化社会の実現に向けて、今後需要が増大するものと予想される。
このため、同社はCASBEE※2建築評価員資格保有者も拡充しており、2021年10月末時点で45名が在籍している。


※1 ライフサイクルマネジメントとは、ファシリティの企画段階から、設計・建設・運営そして解体までのファシリティの生涯に着目して計画、管理を行う考え方。
ファシリティに依存する効用の最大化、ライフサイクルコストの最適化、資源やエネルギー消費・環境負荷の最小化、障害や災害のリスクの最小化を目標とする。

※2 CASBEE(建築環境総合性能評価システム)とは、建築物が地球環境・周辺環境にいかに配慮しているか、ランニングコストに無駄がないか、利用者にとって快適か等の環境性能を客観的に評価するシステム。



(4) DX支援事業
ここ数年でDX化に取り組む企業や団体が増えるなか、こうした企業や団体に対して自社開発し社内で利用していたITシステムを外販する事業となる。
具体的には、プロジェクト一元管理システムの「MeihoPMS」のほか、従業員一人ひとりのアクティビティを時間単位でデータ化し、可視化・定量化、分析することで業務効率の改善と生産性向上につなげていくMeiho Activity Management System(以下、「MeihoAMS」)等の外販を始めている。
対象顧客は大企業や官公庁等となる。
「MeihoPMS」についてはCREM事業の顧客に対して、また、「MeihoAMS」については働き方改革に取り組む顧客に対して需要があると見ている。


売上計上方法については顧客によって異なるが、現状では年間利用契約により月分割で売上計上し、カスタマイズ要望があった場合などは、都度売上として計上することになる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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