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川崎近海汽船は上値試す、22年3月期大幅増収増益・増配予想

発行済 2022-01-17 08:25
更新済 2022-01-17 08:35
© Reuters.  川崎近海汽船は上値試す、22年3月期大幅増収増益・増配予想

 川崎近海汽船<9179>(東2)は近海輸送と内航輸送を主力として、再生可能エネルギー分野の洋上風力発電向け作業船やバイオマス関連輸送の取り組みも強化している。22年3月期は市況上昇などで大幅増収増益・増配予想(21年12月24日付で上方修正)としている。市況動向などを勘案すれば通期業績予想はさらに4回目の上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は上方修正を評価して急伸し、昨年来高値更新の展開だ。15年1月の高値を突破すれば08年以来の高値圏となる。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■近海輸送と内航輸送が主力

 石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、日本近海における海洋資源開発・洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船事業(OSV部門)を展開している。

 21年3月期売上高構成比は近海部門が26%、内航部門が71%、OSV部門が4%、その他が0%、営業利益構成比は近海部門が▲72%、内航部門が283%、OSV部門が▲111%、その他が0%だった。

 収益面では輸送量、運賃市況、為替、燃料油価格、および燃料油価格変動に伴う燃料調整金などが影響する特性がある。また季節要因として第1四半期は入渠費用が増える傾向がある。

 なお20年12月には全社的なDX推進に向けてDX委員会を設置、21年1月には環境への対応に向けて次世代環境対応ワーキンググループを設置、21年4月には安全運航推進員会を環境・安全運航推進委員会に改称した。

■新たな中期経営計画策定、24年3月期経常利益36億円目指す

 21年12月に策定した2021年度中期経営計画(コロナ禍や市況の動向を考慮し、20年10月策定の2020年度中期経営計画を更新して策定)では、目標値に24年3月期売上高416億円(近海部門128億円、その他含む内航部門270億円、OSV部門18億円)、営業利益36億50百万円(近海部門9億円、その他含む内航部門27億円、OSV部門50百万円)、経常利益36億円、親会社株主帰属当期純利益25億円を掲げた。

 前提は為替が1米ドル=110円、燃料油価格が7万5000円/KLで、投資計画は、24年4月以降竣工予定の新造船建造資金を含めて、21年度から23年度の3年間で合計88億18百万円(22年3月期41億53百万円、23年3月期33億53百万円、24年3月期12億67百万円)としている。

 近海部門は前回予想を上回る運賃や貸船料の水準となっている。計画の最終年度に向けて徐々に市況が軟化するが、ここ暫くは現行市況が継続すると想定し、市況にあった船隊整備の継続、商権の維持、コストの削減をなどで収支の安定を目指す。

 内航部門のフェリー輸送では、22年2月1日付で宮古(八戸)~室蘭航路を休止して八戸~苫小牧航路に集中し、効率的な航路運営に取り組む。定期船輸送では、紙製品などの太宗貨物が減少するなか、新規貨物の獲得やコストの削減に取り組む。不定期船輸送では、石灰石および石炭の各専用船の安全運航によって商権の維持に努めるとともに、新規案件の獲得にも取り組む。

 OSV部門は、これまでのSEP船(自己昇降式作業台船)支援および資源探査などに取り組むとともに、23年度から本格化する洋上風力事業の支援についても積極的に参画する。21年6月には川崎汽船と共同で設立した洋上風力発電向け作業船事業会社ケイライン・ウインド・サービスが営業開始した。

 さらに再生可能エネルギー産業を重要な事業分野の一つに位置付けて、バイオマス関連輸送などへの取り組みも強化している。21年9月には山口県下関市における長府バイオマス発電所プロジェクトに参画(石油資源開発、MOT総合研究所、東京エネシス、長府製作所、および同社の5社)すると発表した。本発電所向け燃料輸送を受託する。22年6月着工、25年1月運転開始予定である。

■22年3月期大幅増収増益・増配予想

 22年3月期の連結業績予想(21年7月30日に1回目の上方修正、10月29日に2回目の上方修正、12月24日に3回目の上方修正)は、売上高が21年3月期比14.7%増の425億円、営業利益が5.8倍の23億50百万円、経常利益が12.3倍の23億円、親会社株主帰属当期純利益が16億30百万円(21年3月期は1億12百万円の赤字)としている。配当予想(12月24日に期末50円上方修正)は21年3月期比50円増配の150円(第2四半期末50円、期末100円)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比10.9%増の201億30百万円、営業利益が3.1倍の7億28百万円、経常利益が5.5倍の7億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.6%増の5億39百万円だった。なお特別利益では前年計上の固定資産売却益3億69百万円が剥落した。

 近海部門の市況上昇などで従来予想を上回る大幅増収増益だった。従来予想(7月30日の上方修正値)に対して、売上高は3億30百万円、営業利益は5億78百万円、経常利益は5億77百万円、親会社株主帰属四半期純利益は3億99百万円、それぞれ上回った。

 近海部門は売上高が33.7%増の57億75百万円で、営業利益が5億81百万円(前年同期は89百万円の赤字)だった。市況上昇で運賃収入や貸船料が想定以上に増加したことに加えて、ロシア炭輸送の積地のロシアにおける滞船影響で船隊稼働率が低下して燃料消費量が減少したことも寄与した。

 内航部門は売上高が5.8%増の138億35百万円で、営業利益が9.5%減の5億01百万円だった。入渠費が減少したが燃料油価格高騰の影響で減益だった。ただし売上面は、コロナ禍でも定期船輸送・不定期船輸送とも荷動きが堅調に推移し、フェリー輸送の旅客数や乗用車数も増加した。

 OSV部門は売上高が31.5%減の5億17百万円で、営業利益が3億54百万円の赤字(同2億29百万円の赤字)だった。海洋調査業務が大幅に減少した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が95億15百万円で営業利益が1億24百万円の赤字、第2四半期は売上高が106億15百万円で営業利益が8億52百万円だった。季節要因として第1四半期は入渠費用が増える傾向がある。

 通期予想は前回予想(10月29日付の上方修正値)に対して、売上高を5億円、営業利益を9億50百万円、経常利益を9億50百万円、親会社株主帰属当期純利益を6億80百万円、それぞれ上方修正した。

 近海部門は好調な市況が継続して運賃収入や貸船料収入が増加するとともに、売上原価も前回予想を下回る見込みだ。内航部門はコロナ禍でも荷動きが堅調に推移し、宮古(八戸)~室蘭航路の休止(22年2月1日付)の効果も寄与する。OSV部門は概ね前回予想の水準としている。市況動向などを勘案すれば通期予想はさらに4回目の上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は上方修正を評価して急伸し、昨年来高値更新の展開となった。15年1月の高値4400円を突破すれば08年以来の高値圏となる。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。1月14日の終値は4145円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS555円28銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS8987円27銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約122億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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