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日経平均は3日ぶり反発、忘れつつあった20年の教訓「中銀に逆らうな」

発行済 2022-01-20 12:19
更新済 2022-01-20 12:30
© Reuters.

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 日経平均は3日ぶり反発。
127.06円高の27594.29円(出来高概算6億6000万株)で前場の取引を終えている。


 19日の米株式市場でNYダウは4日続落し、339ドル安となった。
金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)やモルガン・スタンレーの決算を好感して上昇する場面もあったが、連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの警戒感がくすぶり、下落に転じた。
引けにかけて下げ幅を拡大し、この日の安値圏で取引を終えた。
ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-1.14%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は-3.09%となった。
本日の日経平均もこうした流れを引き継いで65円安からスタートすると、前日に790円安と大幅下落した反動から、朝方には一時27726.52円(259.29円高)
まで上昇。
ただ、前場中ごろには一転して27217.59円(249.64円安)まで下落する場面も出てくるなど、売り買いが交錯してやや方向感に乏しい展開となった。


 個別では、ソニーG (T:6758)が3%超の上昇。
前日は米マイクロソフトのゲーム会社買収に絡んで急落したが、過剰反応との見方もあるようだ。
その他売買代金上位ではソフトバンクG (T:9984)、トヨタ自 (T:7203)、任天堂 (T:7974)、ファーストリテ (T:9983)が堅調で、自社株買い実施を発表した伊藤忠 (T:8001)は3%超の上昇。
次世代バイオ燃料の試験実施を発表したユーグレナ (T:2931)や業績・配当予想を修正したワイエイシイ (T:6298)は急伸し、シンシア (T:7782)などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
一方、米半導体株安を受けてレーザーテック (T:6920)や東エレク (T:8035)が軟調で、郵船 (T:9101)、商船三井 (T:9104)、川崎船 (T:9107)といった海運株は大幅に下落。
グレイス (T:6541)は大幅に6日続落し、海運株などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。


 セクターでは、精密機器、食料品、その他製品などが上昇率上位。
一方、海運業、鉱業、保険業などが下落率上位だった。
東証1部の値上がり銘柄は全体の69%、対して値下がり銘柄は26%となっている。


 本日の日経平均は朝方こそ自律反発に期待する向きもあったものの、結果的には上下に振らされてやや方向感に乏しい展開となっている。
昨年10月以降の調整局面では2
7000円台前半から半ばを底に切り返したため、これを意識した押し目買いが入っているのだろう。
しかし、前日に800円近く下落したことを踏まえると、戻りの鈍い印象は拭えない。
個別ではトヨタ自こそ反発しているものの、鉄鋼株に続き海運株が値を崩したことで、金利上昇局面で買いとみられていた大型バリュー(割安)株にも警戒感が広がっている。
米金融引き締め懸念から、半導体関連を中心に値がさグロース(成長)株もさえない。
ここまでの東証1部売買代金は1兆6000億円あまりとまずまず多く、押し目買いとリスク削減目的の売りが交錯していることが窺える。


 新興市場ではマザーズ指数が+0.40%と反発。
こちらも日経平均と同様、前日終値を挟み一進一退の展開だ。
ただ、取引時間中としては2020年5月7日以来、およそ1年8カ月ぶりに800ptを割り込む場面があった。
時価総額上位ではビジョナル (T:4194)が6%超上昇する一方、メルカリ (T:4385)が3日続落。
全体としてトレンド好転の兆しは見出しづらく、メルカリなどは当欄で度々指摘してきたとおり、信用買い残の積み上がりがネックになってきた印象を受ける。


 さて、前日の米市場では10年物国債利回りが1.86%(-0.01pt)となったものの、一時1.90%と2020年1月以来2年ぶりの高水準を付けた。
原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI2月物)は楽観的な需要見通しや地政学リスクの高まりを背景に続伸したが、期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は2.40%(-0.06pt)に低下。
結果的に当欄の見立てどおり、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は一段と上昇している。
主要株価指数は揃って軟調となり、ナスダック総合指数が終値で200日移動平均線を下回るなど調整局面入りが意識されつつある。
「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は23.85(+1.06)となお上昇が続いている。


 バイデン米大統領は19日、就任1年を前にした記者会見で、金融当局がインフレ抑制のため必要に応じて政策を「再調整」することが適切だなどと述べたという。
「インフレの政治問題化」を裏付ける発言と言えるだろう。
金融市場では3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptの利上げを予想(あるいはそれが必要だという主張)する向きが増え、英マラソン・アセット・マネジメントのブルース・リチャーズ最高経営責任者(CEO)からはFRBがインフレ抑制のため8回の利上げを行うという予想が出てきている。


 半面、前日の当欄でも取り上げられていたBofAの1月グローバルファンドマネジャー調査によると、景気高揚とインフレ鈍化を予想する機関投資家が多く、利上げ予想も3回にとどまった。
心理学的に「正常性バイアス」が働いているとも考えられるし、2020年のコロナショック直後、戻り相場で売り負けた記憶がまだ鮮明であることも影響している可能性がある。


 しかしその際、著名ファンドマネジャーらが反省の弁のなかで述べていた教訓は
「中央銀行に逆らうな」だったはずである。
FRBがインフレへの対応で金融引き締め姿勢を強める以上、借り入れコストの増大などを通じて消費・投資行動に大きな影響を及ぼすとみておくべきだろう。
例えば東京市場でも信用買い残高がコロナショック前を大きく上回っており、今後、投資レバレッジの縮小なども十分想定される。
2020年の教訓を再確認しておきたい。

(小林大純)

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