[東京 17日 ロイター] - トヨタ自動車は17日、4─6月の世界生産台数について平均で月80万台程度とする計画を発表した。半導体不足の影響により、従来計画から引き下げた。度重なる生産調整に伴う仕入れ先の負担軽減を図るため、想定されるリスクを反映させて計画を見直した。
4月の世界生産台数は75万台程度の見通し。トヨタは年初、これまで減産した台数を取り戻す挽回生産分も織り込んで4月の生産計画を90万台と仕入れ先に伝えていたが、15万台減らす。内訳は、国内が25万台、海外が50万台。5月は従来計画から10%減、6月は同5%減に下方修正した。
熊倉和生・調達本部長はオンラインでの取材で「挽回生産を実施するまでに至っていない」と説明。今後も「リスクが増えている状況なので、(4─6月の世界生産計画が)上振れる可能性は低いだろう」との見方を示した。
下方修正後の4─6月期の世界生産計画はさらに下振れる可能性がある。熊倉氏によると、修正後の世界生産計画には16日深夜に発生した福島県沖の地震による影響は織り込んでいない。新型コロナウイルス流行を受けた中国での事実上の都市封鎖(ロックダウン)による工場の稼働停止、ウクライナ情勢の緊迫化と、それに伴う物流混乱、ロシア・サンクトペテルブルク工場稼働停止の影響なども含んでいない。
トヨタは14日、中国・吉林省長春市にある工場の稼働一時停止を決定。感染が深刻な同市が11日に必要不可欠な業務以外の営業の休止、住民に不要不急の外出禁止を命じたためで、停止期間は未定としており、熊倉氏も「コロナは先読みが難しく、まだ油断できない」と述べた。
一方、現時点で、ウクライナ情勢緊迫化による具体的な生産への影響は出ておらず、物流混乱による影響も「特段大きな影響は出ていない」と話した。ウクライナ情勢を巡っては、排ガスを浄化する触媒材料として使うパラジウムについても、世界生産量の4割を占めるロシア産に供給懸念が出ているが、熊倉氏は、トヨタは調達国の分散化を以前から進めており「短期的にリスクにならない」としたが、「パラジウムの長期的な価格上昇リスクはある」と語った。
熊倉氏はまた、16日深夜の地震によるルネサスエレクトロニクスの工場停止の影響についても「今日の感じでは影響は出てこないと思う」と述べた。
ルネサスは地震発生を受けて、茨城県の那珂工場と群馬県の高崎工場、山形県の米沢工場を停止。米沢工場は17日午前8時時点でテストの一部工程で生産を再開したが、那珂と高崎2工場の再開時期は未定としている。那珂工場は2011年の東日本大震災で被災したほか、昨年3月には火災が発生して生産が止まり、自動車の部品供給網に大きな影響を及ぼした。