[12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者の間で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後のインフレ見通しについて見解が分かれていることが12日、浮き彫りになった。
この日はブレイナードFRB理事とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁がそれぞれ発言した。
ブレイナード氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、インフレ率を目標の2%に回帰させることがFRBの「最も重要な課題」と指摘した上で、一連の利上げと大規模なバランスシートの縮小によって達成できるという確信を示した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアインフレが鈍化し始める兆しを示したことを歓迎し、FRBの「迅速」な利上げに伴い、需要並びにインフレ率は今後数カ月で鈍化するとの見通しを示した。
また、パンデミックに伴う供給制約やロシアのウクライナ侵攻を背景にした物価上昇圧力がなくなれば、経済はパンデミック前の標準に近い状況になると「考える十分な理由がある」と指摘した。
米国ではパンデミック前の20年間、低インフレが高インフレよりも大きな脅威だった。
一方、バーキン総裁は講演で、企業が混乱への耐性を強めるためサプライチェーン(供給網)を再構築したり、高齢化社会への対応で政府の支出が拡大したり、人口増加の減速で労働力供給が引き続き制限されるなどした場合、物価上昇圧力は高止まりする可能性があると指摘。
将来的に高インフレがパンデミック前より一般的になれば、「インフレ期待を安定させるわれわれの取り組みは、最近のパターン以上の金融引き締めを行う期間が必要になる可能性がある」と述べた。
短期的な政策見通しについてはブレイナード氏と同様の見解を示し、「最善の短期的道筋は、中立レンジまで迅速に動いた上で、パンデミック下のインフレ圧力が和らぐか、インフレがどれほど持続的になったか見極めることだ。必要なら、さらなる行動が可能だ」と述べた。