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アウトソシング Research Memo(2):景気変動の影響を受けにくい事業構造をグローバルに展開(1)

発行済 2022-04-18 15:12
更新済 2022-04-18 15:15
© Reuters.
■会社概要

1. 事業内容
アウトソーシング (TYO:2427)は、メーカーの製造ライン向けに人材派遣及び業務請負を行う「国内製造系アウトソーシング事業」や、メーカーの研究開発部門及びIT、建築系向けに技術者派遣等を行う「国内技術系アウトソーシング事業」を展開するほか、米軍施設向け事業や海外展開にも積極的に取り組んでいる。
元来、自動車関連業界に強い顧客基盤を有しており、メーカーの生産効率向上や技術革新に貢献するとともに、M&Aを含めた効果的な人材の獲得が同社の成長を支えてきた。
特に、ここ数年は、景気変動の影響を受けやすい事業特性からの脱却や様々な環境変化を自らの成長に結び付けるため、事業構造の変革と事業領域の拡大を進めてきた。
今後は、派遣DX化※を含めた環境変化を踏まえ、ビジネスモデルの抜本的な変革や新たなビジネス機会の獲得にも取り組む方針である。
海外を含めた人材提供数及び管理人数は13.4万名を超え、技術・製造系では国内において業界最大規模を誇っている。


※DXとはデジタルトランスフォーメーションの略。
データやデジタル技術を活用してビジネスの仕組みを変革し、競争優位性を獲得する動き。
派遣業界においても、DX化への取り組みが今後の生き残りのカギを握ると言われている。



事業セグメントは、「国内技術系アウトソーシング事業」「国内製造系アウトソーシング事業」「国内サービス系アウトソーシング事業」に加えて、海外における「海外技術系事業」「海外製造系及びサービス系事業」の5つに区分される。
事業別売上収益構成比では、主力の「国内技術系アウトソーシング事業」が21.8%、「国内製造系アウトソーシング事業」が17.5%となっているが、ここ数年では、積極的なM&Aにより海外事業が大きく伸びており、売上収益全体の55.6%を占めている。
また、景気変動の影響を受けにくい各国公共機関向けや米軍施設向けが大きく伸びており、同社の目指す方向性に沿って順調に進展していると評価できる。


各事業の概要は以下のとおりである。


(1) 国内技術系アウトソーシング事業
輸送用機器や電気機器、金属・建材、医薬品等の幅広い分野のメーカーにおける研究開発部門への技術者派遣等のほか、IT及び建築系企業に対する技術者派遣等を行っている。
特に、市場規模が大きく、さらなる成長が見込めるIT及び建築分野のほか、医薬品分野の強化などにも取り組んでおり、同社グループの(株)シンクスバンクが運営するKENスクールや、アドバンテック(株)が各分野の企業(通信キャリアや大手ゼネコン、医薬品メーカー等)と共同開発した人材育成カリキュラム(未経験・異分野からのキャリアチェンジを含む)の推進により、既に2万名を超える技術者を擁する国内トップの技術系アウトソーシング事業集団となっている。
新卒採用についても2021年4月には2,364名が入社(2022年4月は約2,700名を予定)しており、後発ながらこの分野におけるプレゼンス向上が顕著である。
今後は、エンジニアとテクノロジーを融合したモデル「派遣2.0」(詳細は後述)の推進を含め、派遣DX化の推進による新たな成長モデルの確立にも注力していく。


(2) 国内製造系アウトソーシング事業
創業以来の主力事業である、「製造ラインへの人材派遣や業務請負」(輸送用機器や電気機器などのメーカーの製造工程の外注化ニーズに対応し、生産技術、管理ノウハウを提供することで生産効率の向上を実現するサービス)に加えて、「管理業務受託」(メーカーが直接雇用する期間社員及び外国人技能実習生※1等の採用後の労務管理や社宅管理等にかかる管理業務受託事業及び期間満了者の再就職支援までを行う一括受託サービス)や、「期間工の有料職業紹介」(メーカーが直接雇用する期間社員の採用代行サービス)も含まれる。
「製造ラインへの人材派遣や業務請負」については、これまで独自のPEOスキームの活用※2により、景気変動の影響が少ない長期事業領域での人材ニーズの創出と顧客の囲い込みを実現し、高い成長性を維持してきた。
ただ足元では、「働き方改革」(労働時間短縮)の影響によりPEOスキームは雇用リスクが高まっていることから、戦略の見直しを進めている。
一方、新たに開始した派遣スタッフ管理システム「CSM」は、コロナ禍からの生産復調が進む大手メーカーにとって、フレキシブルな生産体制の構築や派遣社員の有効活用を図るうえで効果的な提案となっており、一括導入する事例が増えてきた。


※1 法に基づき、日本の現場で最長5年間実習し、帰国後に習得技能を活用する外国人技能実習制度により来日した外国人。
国内の人手不足に伴い需要が高まっている。
ただ、メーカーは、社宅契約・管理や生活管理等にノウハウを持たないため、実績が豊富な同社の管理業務受託が拡大する方向にある。
実習期間は通常3年間(試験合格で最長5年間可)であるため、その期間の売上・利益が見込めるうえ、コンスタントに期間満了に伴う入れ替えのニーズも期待できる。

※2 PEOスキームとは、労働法改正によってメーカーに発生した課題を解決するとともに、同社にとっても、採用コストを抑えながら長期事業領域への人材提供というメリットを享受できる仕組みである。



また、「管理業務受託」については、労働契約法や労働者派遣法の改正により派遣活用の利便性が高まるなかで、メーカー直接雇用による期間社員活用ニーズは縮小する反面、メーカーが直接受け入れる外国人技能実習生に対する管理業務は拡大しており、今後も成長余地が大きい。
また、2019年4月に新設された在留資格制度※1も今後の事業拡大に向けてプラスの材料となっている。
同社にとって雇用リスクがないことや利益率が高いことなどメリット※2が大きく、今後の注力分野の1つとして位置付けられる。
足元ではコロナ禍に伴う各国の出入国規制により外国人材の受け入れが困難な状況にあるが、潜在的な需要は大きく、中長期的視点で今後の柱に育成していく考えである。


※1 入管法の改正により、2019年4月1日より新たな在留資格「特定技能」が導入された。
これに伴って、これまでは一部の例外を除いて外国人が働くことのできなかった建設業界や造船業界、宿泊業界、外食産業などで外国人が働くことができるようになるため、外国人の活用ニーズがさらに高まることが期待されている。

※2 外国人労働者の管理業務受託における同社メリットには、1)同社に雇用リスクがない、2)技能実習生は最長5年間、特定技能の来日者は試験合格等の条件合致によって無期限で受託可能、3)管理業務受託の1名当たり売上収益は製造派遣より低いが原価率・販管費率がさらに低いため、営業利益率が高い、4)技能実習生・日系人の帰国後は現地で、留学生の卒業後は技能習熟者として、同社グループで活用可能、などが挙げられる。



一方、「期間工の有料職業紹介」については、労働契約法や労働者派遣法の改正により、期間工から派遣活用にシフトする流れが進み、中長期的には市場全体のニーズは縮小する方向にある。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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