[サンフランシスコ 20日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラが20日発表した第1・四半期(3月31日まで)決算は、利益と売上高が予想を上回った。価格を引き上げたことで、サプライチェーン(供給網)の混乱やコスト高、中国・上海工場の操業停止による影響が相殺された。
決算発表を受け、時間外取引でテスラ株は5%上昇した。
売上高は前年同期比81%増の188億ドル。リフィニティブがまとめた予想の178億ドルを上回った。
1株当たり利益は3.22ドルと、予想の2.26ドルを上回った。
他の自動車メーカーへの温暖化ガス排出枠(クレジット)売却収入が31%増の6億7900万ドルとなり、売上高と利益の押し上げに寄与した。
納車1台当たりの利払い・税・償却前利益(EBITDA)は60%超増加し、1万6203ドルとなった。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は投資家向け電話会見で、納車の伸び率について今年は60%になる見込みが十分あるとし、数年間は年50%を達成できるとの見通しを改めて示した。
マスク氏は3月、ウクライナ危機で原材料などが大きなインフレ圧力に直面していると指摘。これを受け、テスラは中国や米国などで価格を引き上げていた。
同社は発表文書で「サプライチェーンが主な制約要因となる中、工場の操業は数四半期にわたり生産能力を下回っている。この状況は年内続く見通しだ」とした。
ロス・キャピタルのクレイグ・アーウィン氏は「値上げがコスト高をうまく補っている」と指摘。「中国の生産問題にもうまく対処しているようだ。オースティンとベルリン(の工場)が上海での19日間の操業停止の影響を相殺する見込みだ」と語った。
テスラは上海市で新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が導入されたことを受け、約3週間にわたり上海工場の操業を停止。ただ、今週に入り徐々に操業を再開している。
テスラは、上海工場の操業停止で約1カ月分の生産台数が失われたとし、生産再開は限定的な水準にとどまっているため第2・四半期の生産・納車台数に影響が出る見通しとした。
マスク氏は、同社全体の第2・四半期生産台数は前期並みになるとの見方を示した。
同氏は、リチウムの高値がコスト上昇やEV市場の成長抑制要因になっていると指摘。その上で、電池材料の確保について「今後数カ月でエキサイティングな発表」を行うと述べた。
また、自社の電池セル「4680」について、来年初めまでに量産の問題を解決しなければ、同年に生産へのリスクになるとした。ただ、解決に自信を示したほか、リスク軽減のためテキサス工場で生産する車両に既存の「2170」電池も使用する方針を示した。
さらに、ハンドルもペダルもないロボタクシーを2024年までに量産するとの見通しを示した。
会見では、430億ドルで買収を提案したツイッターへの言及はなかった。