執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com – 米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ抑制策が景気を後退させるとの懸念が続く中、日中下げ止まった後も再びすぐに売り圧力が高まり、ダウ工業株30種平均は続落した。
ダウ工業株30種平均は0.3%(103ドル)下落と、6日続落となった。S&P500は0.05%下落、ナスダックは0.1%上昇した。
この日は、日中の激しい売りの中で押し目買いが入ったようだが、ハイテク株は安値圏で引けた。しかし、インフレ率の上昇により米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派的な利上げ方針を維持するとの懸念から、このセクターへの大きな強気の資金投入に対する意欲は依然冷めたままだ。
Apple (NASDAQ:AAPL), Microsoft (NASDAQ:MSFT) と Alphabet (NASDAQ:GOOGL) がハイテク株の下落をリードした。しかし、AMD(NASDAQ:AMD)とNVIDA(NASDAQ:NVDA)が下落幅を弱めたため、半導体株がハイテク株の下落を多少軽減させたようだ。
最終需要を示す生産者物価指数は先月0.5%上昇し、エコノミストの予想と一致し、過去12ヶ月では11%上昇し、予想の10.7%を上回った。
「昨日と本日発表された経済指標では、FRBが6月15日に0.5%の引き上げを示唆するものはなかったが、一部では0.75%の引き上げの可能性を再考し始めている」と、Stifelは述べている。
世界的な成長見通しに対する懸念から米国債利回りが低下し続けるなか、金融株も銀行株が下落を受けて、株式市場全体と同様に下落となった。
Signature Bank(NASDAQ:SBNY)、Citigroup(NYSE:C)、 Synchrony Financial(NYSE:SYF)が最も下落し、後者は6%以上の下落となった。
Wolf Researchは、Synchrony Financialの信用見通しが競合他社対比悪化しているとして、クレジット見通しを引き下げた。
エネルギー関連株は、原油価格が不安定な動きをみせたため、投資家が潜在的な供給不足と需要低迷のリスクを考慮し、損失を縮小し、横ばい圏よりもやや上の水準で終了した。
一方、四半期発表はまちまちの業績となった。
WeWork (NYSE:WE) は、コロナによる低迷していたオフィス需要が回復し、第1四半期に損失を縮小、同社の株価は10%以上の上昇となった。
一方、Walt Disney (NYSE:DIS) の 四半期決算 は、売上高と利益の両方で未達となったが、ストリーミングの加入者が2億人を突破し、同社にとって明るい話題となった。この日の株価は1%弱の下落に留まった。
Beyond Meat(NASDAQ:BYND)は、コスト上昇により利益率が低下し、予想よりも損失が拡大したため4%以上の下落となった。
「競争圧力の高まり、事業規模の拡大における課題、中期的な資金需要などを考慮すると、投資家は(同社への投資について)様子をみるべきと考える」とOppenheimerは述べている。
Rivian Automotive(NASDAQ:RIVN)は、予想を下回る四半期決算を発表したにも関わらず、約18%急騰した。
「この四半期は問題がなかったわけではないが、同社はようやく、強い需要と、今年中に2万5000台の販売を実現するサプライ・チェーンで軌道に乗ったようであり、見通しを再確認した」と、Wedbush証券は述べている。
今回の相場下落で、株価は底打ち間近なのかどうか、多くの人が押し目買いの可否について議論している。
市場の一部では、S&P500の30ヶ月移動平均線3,800付近を押し目買いを引きつける水準としているが、底値が近いと示唆することには慎重な姿勢を崩していない。
「米国株式市場は年初来安値に近づいているが、反発までにはもう少し時間がかかり、それまでには下落が続くとみている」と、Janney Montgomery Scottは述べている。