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日経平均は続伸、インフレトレードのリバーサル継続か

発行済 2022-05-16 12:10
更新済 2022-05-16 12:15
© Reuters.
 日経平均は続伸。
64.64円高の26492.29円(出来高概算8億0801万株)で前場の取引を終えている。


 先週末13日の米株式市場でNYダウは466.36ドル高と7日ぶり大幅反発。
暗号資産市場が持ち直したことで、金融市場に混乱がもたらされるとの脅威が後退し、寄り付き後上昇。
ハイテク株も下げ止まったため、主要株価指数は安心感から終日堅調に推移した。
ナスダック総合指数は+3.81%と大幅続伸。
こうした流れを引き継いで日経平均は先週末比325.72円高からスタートすると、朝方に26836.96円(409.31円高)まで上昇。
しかし、先週末に急反発した反動が意識されるなか、時間外取引のナスダック100先物が軟化したことで前場中ごろからは売りに押され失速。
前引け間際には一時26438.61円(10.96円高)まで上げ幅を縮める場面があった。


 中国経済指標の下振れも投資家心理を悪化させたとみられる。
11時頃に発表された中国4月の小売売上高は前年比-11.1%と予想(同-6.1%)を大幅に下振れ、鉱工業生産も同-2.9%と予想(同+0.6%)を大幅に下振れた。


 個別では、先週末に急伸したソフトバンクG (TYO:9984)やレーザーテック (TYO:6920)のほか、ファーストリテ (TYO:9983)、OLC (TYO:4661)、リクルートHD (TYO:6098)などのグロース(成長)
株が上昇。
第1四半期好スタートだったスノーピーク (TYO:7816)や、決算と併せて新中計と自社株買いを発表したKDDI (TYO:9433)、市場予想を上回る見通しを公表したSMC (TYO:6273)などは東証プライム市場売買代金上位において大幅高となっている。
マツダ (TYO:7261)は市場予想を上回る営業増益計画や増配などが評価され、自動車株の中では珍しく本決算後に大幅高を見せている。
東証プライム値上がり率上位には決算を受けてDmMiX (TYO:7354)、上組 (TYO:9364)、イーレックス (TYO:9517)、マツキヨココ (TYO:3088)などがランクイン。


 一方、三菱商事 (TYO:8058)や三井物産 (TYO:8031)などが小安く、トヨタ自 (TYO:7203)や任天堂 (TYO:7974)も軟調。
決算後の急伸の反動でオリンパス (TYO:7733)が大幅反落。
市場予想を大幅に下回るガイダンスを公表したホンダ (TYO:7267)が大きく下落し、第1四半期が2ケタ営業減益となったヤマハ発動機 (TYO:7272)は急落。
第1四半期が大幅な赤字となった楽天グループ (TYO:4755)、今期2ケタ営業減益計画で市場予想も大きく下回った住友化学 (TYO:4005)なども売られた。
東証プライム値下がり率上位には今期大幅減益のサプライズ計画を受けて先週末にストップ安となったエン・ジャパン (TYO:4849)のほか、ギークス (TYO:7060)、メルコHD (TYO:6676)、朝日インテック (TYO:7747)、DOWA (TYO:5714)などが並んだ。


 セクターでは倉庫運輸、サービス、情報・通信などが上昇率上位となった一方、鉄鋼、非鉄金属、その他金融などが下落率上位に並んだ。
東証プライムの値上がり銘柄は全体の28%、対して値下がり銘柄は70%となっている。


 日経平均は朝方高く始まった後は伸び悩んで急失速、25日、75日移動平均線に上値を抑えられる格好となっている。
東証株価指数(TOPIX)は寄り付き直後から失速すると前引け間際にマイナスに転換し、やや大きめの陰線を形成。
先週末に急反発していたことや時間外取引のナスダック100先物の上昇を背景に13日の米株高をある程度織り込んでいたとはいえ、ナスダックが4%近く上昇していたことを踏まえると、今日の東京市場の動きはやや弱い印象を受ける。


 対して先週末に+4.5%と急反発したマザーズ指数は+1%半ばと相対的に強い。
東証プライム市場でも、先週末に急伸していたソフトバンクGが続伸しているあたり、直近の下落がきつかったハイテク・グロース株には買いが入っているようだ。
一方、商社などは先週から軟調な動きが目立ち始めてきている。
先週に米国で一連の物価指標の発表を終え、インフレを巡る話題がやや落ち着きを見せるなか、これまでの“コモディティ買い・グロース株売り”といったインフレを見込んだトレードのリバーサル
(株価の反転)的な動きが出てきていると考えられる。


 気になるところでは、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストが今年と来年の米国経済の成長率予想を引き下げた。
連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めを巡る金融市場の混乱を反映させたようで、2022年の成長率見通しを従来の2.6%から2.4%に小幅に下方修正した一方、23年については従来の2.2%から1.6%へと大幅に引き下げた。


 米10年債利回りが5月6日の3.14%をピークに足元、3%を下回る推移が続いていることもあり、市場では景気後退に対する懸念を強めるとともに、インフレのピークアウトを意識した動きが根強い様子。
結局は、ピークアウトを確かめるには最低でもこの先2、3カ月分の指標は確認する必要があり、それまでは期待と懸念の交錯が続き、物色も循環的な様相の域を出ないだろう。
それでも、上述した動きを踏まえる限り、目先的には“コモディティ買い・グロース株売り”のインフレトレードのリバーサルが続くと想定され、これまでたたき売られてきた中小型グロース株などには押し目買い妙味があると考えられる。


 今週17日には、パウエルFRB議長がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催会議で講演を行う予定だ。
パウエル議長は12日、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解を繰り返した。
17日のイベントでも再度こうした見通しを強調すれば、政策金利の引き上げペースがより明確になることで、引き締めを巡る懸念も和らぎ、ハイテク・グロース株のリバウンド機運が高まると期待している。


 午後の日経平均は方向感に欠ける展開が続きそうだ。
米国市場では指数の振れ幅が激しい展開が続いており、東京市場でも米国市場を睨みながらの動きとならざるを得ない。
そうしたなか、時間外取引の米株価指数先物の動きに左右される展開が続きそうだ。
ただ、中国での市場予想以上に大きく悪化した経済指標を受けてアジア市況が軟化してきていることもあり、午後はマイナス転換となる可能性があろう。

(仲村幸浩)

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