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日経平均は5日ぶり大幅反落、「インフレ下の消費」に揺れる

発行済 2022-05-19 12:13
更新済 2022-05-19 12:15
© Reuters.

© Reuters.

 日経平均は5日ぶり大幅反落。
672.80円安の26238.40円(出来高概算6億4000万株)
で前場の取引を終えている。


 18日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに大幅反落し、1164ドル安となった。
下げ幅は今年最大で、終値としては年初来安値を更新。
前の日に決算発表したウォルマートに続き、この日決算発表したターゲットも業績が大きく悪化。
小売り大手でさえない決算が相次いだことを受け、インフレによる景気や企業業績の悪化懸念が強まった。
S&P500指数は-4.03%、ナスダック総合指数は-4.72%とその他の主要株価指数も大幅に下落。
本日の日経平均はこうした流れを引き継いで475円安からスタートし、朝方に一時
26150.09円(761.11円安)まで下落すると、その後も安値圏で軟調に推移した。


 個別では、レーザーテック (TYO:6920)、ソフトバンクG (TYO:9984)、東エレク (TYO:8035)、トヨタ自 (TYO:7203)といった売買代金上位が軒並み軟調。
愛知県の工業用水の供給が一部止まり、トヨタ系の1工場が稼働停止するなどと伝わっている。
郵船 (TYO:9101)が5%超下落するなど、海運株は特に軟調ぶりが目立つ。
また、F&LC (TYO:3563)は大幅続落して取引時間中の年初来安値を更新し、DmMiX (TYO:7354)などとともに東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。
一方、売買代金上位では三菱重 (TYO:7011)のみプラスとなっており、取引時間中の年初来高値を連日で更新している。
任天堂 (TYO:7974)創業家の資産運用会社が株式公開買付け(TOB)を正式発表した東洋建 (TYO:1890)は東証プライム市場の上昇率トップ。
イオンファン (TYO:4343)なども上昇率上位に顔を出している。


 セクターでは、全33業種がマイナスとなり、空運業、輸送用機器、電気機器、サービス業、精密機器などが下落率上位だった。
東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の87%、対して値上がり銘柄は11%となっている。


 前日の米株が急落した流れを引き継ぎ、本日の日経平均は600円を超える下落で前場を折り返した。
日足チャートを見ると、26000円台後半に集中している5日~75日の各移動平均線を一気に下抜け。
前日まで4日続伸するなどまずまずしっかりした動きだったが、短期トレンドの悪化も意識されざるを得ないか。
前引けの日経平均が-2.50%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-2.03%。
ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆5000億円あまりとまずまず多いが、値幅の割には膨らんでいるように見えない。


 個別では東証プライム市場銘柄の9割近くが下落しているが、9日に回転ずし「スシロー」の値上げを発表したF&LCが下落率上位にランクインしているのは注目される。
これまで期待が高かっただけに年初来安値更新で損失覚悟の手仕舞い売りが出やすいのだろうが、国内消費の鈍化懸念を示しているようだ。
また、業種別では海運業の下落が目立って大きく、投資家のセンチメント悪化と世界経済の先行き懸念を感じさせる。


 新興株でもマザーズ指数が-2.48%と大幅反落。
既に水準がかなり低いため、日経平均などと比べより大きな下落を強いられているわけではないが、日米株式相場の急落を受けて積極的に買いを入れられる状況にもないだろう。
富山大学などとの共同研究を発表したペルセウス (TYO:4882)が値を飛ばしているものの、物色は広がりを欠く。
メルカリ (TYO:4385)が取引時間中の年初来安値を更新するなど、主力IT株は揃って軟調だ。


 さて、米株は「インフレ下での消費動向」に大きく揺れた。
まず17日発表の4月小売売上高が前月比+0.9%、変動の大きい自動車・同部品を除くベースでも同+0.6%と市場予想(+0.4%)を上回り、「インフレ下でも消費は堅調」と受け止める向きが多かった。
ただ、米ブルームバーグが小売売上高はインフレ調整しておらず、「消費者物価高騰の結果である可能性もある」などと指摘していたのは注目すべきだろう。
結局、ウォルマートやターゲットといった小売り大手の大幅な業績悪化を受け、消費鈍化が懸念されざるを得なくなった。
著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏は一時的なスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)が避けられず、「市場は深刻な成長低迷のリスクにまだ注意を払っていない」などと警鐘を鳴らしたという。


 また、米金融大手ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEO(最高経営責任者)は「極度に懲罰的な」インフレで経済への課税が生じており、「リセッション
(景気後退)の可能性はある」との見方を示したという。


 こうした有力者の懸念の声が影響しているのだろうが、下値でヘッジ(あるいは投機)目的のプットオプション(売る権利)の利益確定売りが一定程度出てきているものの、それ以上に新規のプット買いが入っているとの観測が聞かれる。
実際、低下傾向にあった米株の変動性指数(VIX)は18日、30.96(+4.86)と反騰しており、ボラティリティー(株価変動率)の高まりを織り込む動きが再び強まっているようだ。
ここまで、一昨日の当欄「それでもインフレ・市場急変懸念は拭えない」での予想に沿った動きになっていると考えざるを得ない。


 前引けのTOPIX下落率が2%を超え、後場は26営業日ぶり(4月7日以来)となる日銀の上場投資信託(ETF)買い実施観測が相場の下支えとなる可能性もあるだろう。
しかし、市場の不安定感から積極的に戻りに乗ろうとする動きは限られそうだ。
また、今晩の米国では5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の中古住宅販売件数などが発表される予定で、引き続きインフレ下での経済情勢に注意を払う必要があるだろう。

(小林大純)

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