[香港 26日 ロイター] - 中国経済の柱である不動産市場が、過去1年で急激に悪化している。政府がデベロッパーの過剰債務を取り締まったことに加え、新型コロナウイルスの流行で景気が減速したことが響いた。
今年はこれまでに100都市以上が、住宅ローン金利・頭金の引き下げや補助金を通じて、住宅需要を喚起する対策を導入したが、政府が複数の都市で厳格な新型コロナ規制を導入したことから、消費信頼感が冷え込んでおり、先行きは依然として厳しい。 9d1f03ec-9453-48c5-a16d-19b9eb36b6eb2
ロイター調査によると、中国不動産市場の苦境は年内さらに厳しくなりそうだ。新型コロナ流行に伴う規制強化が需要を圧迫する中、価格は横ばいになるとみられている。
アナリストによると、全国の住宅在庫は高水準。特に3級都市・4級都市は、需要低迷で大規模な在庫調整圧力に見舞われている。 934b445c-1f7e-4764-a22b-7f3ee38dce903
4月の不動産販売は金額ベースで約16年ぶりの大幅な減少となった。不動産セクターの立て直しに向けた追加の緩和策が講じられているにもかかわらずだ。
今月は、住宅購入者の負担を和らげることを目指した追加利下げも行われたが、市場関係者は需要喚起効果は限定的と分析している。
フィッチ・レーティングスは先月、今年の不動産販売が金額ベースで25─30%減少すると予想。従来予想は10─15%減だった。
中国人民銀行(中央銀行)が24日発表した声明によると、中国規制当局は不動産部門の信用の伸びの安定を維持し、新型コロナ流行で打撃を受けた住宅購入者を支援する方針。住宅ローンなどの返済猶予を促すとしている。 839f27d8-59cc-4625-be78-45a0ad7d13094
多くの民間デベロッパーは、販売低迷と資金調達難に直面しており、経費を節減している。規制当局の緩和措置が市場に大きな効果をもたらすには何カ月もかかるとの声が多い。
一部のデベロッパーは、政府の呼び掛けに応じ、流動性危機の原因とされる高債務・高回転経営モデルへの依存を減らすため、不動産サービスや商業用不動産など、資産保有を圧縮するアセットライト事業への進出を加速している。 ee94102f-20c0-406a-a00f-cd7a93cf88e05
4月の新規着工は前年比44.19%減。新型コロナ流行初期の2020年1─2月以降で最大の減少を記録した。デベロッパーも、資本を維持するため、新規の建設を抑制しており、潜在的な住宅購入者が直面する不透明感が強まっている。
今月の公式統計によると、4月の人民元建て融資は急減。新型コロナの流行で経済が混乱し、信用需要が低迷した。住宅ローンを含む家計向け融資は2170億元減少しており、市場が凍結状態にあることが浮き彫りとなっている。