[26日 ロイター] - 米半導体大手ブロードコムは26日、クラウドコンピューティング事業のヴィエムウェア(VMウェア)を株式と現金を通じて610億ドルで買収すると発表した。企業向けソフトウエア事業の拡充が狙いだ。
世界中で今年発表された企業買収としては、マイクロソフトによるゲーム製作のアクティビジョン・ブリザード取得(687億ドル)に次いで2番目の規模となる。
ブロードコムは、VMウェア1株当たり現金142.50ドルないしブロードコム0.2520株と交換する計画。これは同案件が最初に報道された22日の前日のVMウェア株終値に約49%のプレミアムを乗せた水準だ。ブロードコムはVMウェアの純債務80億ドルも肩代わりする。
VMウェア買収により、ブロードコムのソフトウエア関連収入は全売上高のおよそ45%に達する見通し。フューチュラム・リサーチのアナリスト、ダニエル・ニューマン氏は、これでブロードコムはあっという間に大手ソフトウエア企業とみなされると指摘し、「VMウェアのような企業を手中にすることで、現在の事業内容では恐らく到来しない相当多くの商機に出会えるだろう」と述べた。
懸念要素の1つは、バイデン政権があらゆる企業セクターの競争促進を求めている点にある。バンダービルト大学准教授で米証券取引委員会(SEC)出身のジョシュ・ホワイト氏は「連邦取引委員会(FTC)は、ブロードコムがVMウェア買収を利用してサービスの抱き合わせ販売ないし値上げに動くのではないかと心配するのではないか。最終的にFTCは、この案件が競争環境全般と特に今のインフレ下で物価情勢に影響を及ぼすかどうか把握したいと考えるだろう」と話した。
VMウェア株式は、デル・テクノロジーズのマイケル・デル最高経営責任者(CEO)が40%、デル氏を資金面で支えるプライベートエクイティのシルバーレイクが10%保有しているが、双方ともブロードコムの買収に賛成した。
今回の合意の一環としてVMウェアには、40日間ブロードコム以外からの買収提案を認められる。