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SI Research Memo(3):「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」(2)

発行済 2022-06-07 15:03
更新済 2022-06-07 15:15
© Reuters

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■事業概要

3. ERP・AI事業
ERP事業では、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」の開発、導入販売を行っている。
「GRANDIT」は13社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で運営されているERPパッケージのことで、システムインテグレータ (TYO:3826)は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わり、普及拡大に貢献してきた。
「GRANDIT」の顧客ターゲットは年商数百億円規模の中堅企業から最近は大企業向けの実績も増え始めており、導入社数はコンソーシアム全体で1,300社超まで拡大している。
「GRANDIT」の特徴は、完全WebベースのERPであり、バージョンアップ時におけるクライアント側でのメンテナンスが不要なこと、またスマートデバイスにも対応可能なことが挙げられる。
ハードウェアに依存しないため、Webが動作する環境であればどこでもシステムの利用が可能となる。
また、13社それぞれの技術ノウハウが「GRANDIT」の製品開発に活かされるため機能面での競争力も高く、生産管理まで含む数少ない国産ERPとして需要が高まっている。
2020年6月にリリースした最新版の「GRANDIT3.1」では、API機能を標準提供し、SFAなど営業支援システムとの相互連携を実現するなど日々進化を続けている。


同社の導入実績は百数十社と、コンソーシアムのなかでトップの実績を誇っており、販売実績No.1の企業に与えられる「GRANDIT AWARD Prime Partner of the Year」についても過去6回受賞している。
同社の強みは、「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「継続取引管理アドオンモジュール」のほか、ソフトウェア業界向けには「OBPM Neo」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」などを自社開発するなど、幅広いソリューションに対応できる開発力を持つことが挙げられる。
さらに、RPAやAIと組み合わせた業務自動化提案力やAWS、Microsoft Azure等のパブリッククラウドベースでのインテグレーションサービスにも対応可能となっている。


ERPの国内市場規模は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機に経営のデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが活発化するなかで着実に拡大しており、オンプレミスからクラウドへ移行する動きも活発化している。
今後についても、ERPの最大手であるSAP (NYSE:SAP)が既存システムの保守サポートを2027年度で終了することを発表しており、大手企業を中心に既存システムを次世代ERPに移行する、または他のERPに切り替える動きが継続するものと見られ、年率10%近い成長が続くものと予想されている。


ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けが進んでおり、大企業向けではSAPやOracle (NYSE:ORCL)など外資系が強い。
同社の顧客対象は中堅企業が中心で、競合品は富士通 (TYO:6702)の「GLOVIA」やオービック (TYO:4684)の「OBIC7」などが挙げられる。
また、ここ最近はANAホールディングス (TYO:9202)や富士通など大企業からの受注も増えてきており、受注単価も1件当たり3~5億円と大型化する傾向にある。
売上総利益率は製品構成や仕様などによって変わるため一概には言えないが平均すると20%台後半の水準で、想定される営業利益率は10%前後の水準となる。
ただ、プロジェクトの延伸や改修作業が生じた場合は利益率が低下したり、不採算プロジェクトとなるリスクもある。
なお、「GRANDIT」についても2019年3月からSaaS型(サブスクリプションモデル)での提供を開始しているが、中規模以上の開発案件ではカスタマイズの要望も多いことから実績としては少なく、オンプレミス型やIaaS型での販売が主流となっている。


また、AI事業として最新の画像認識技術を使用したディープラーニング異常検知システム「AISI∀-AD」を2018年10月にリリースしている。
同システムは製造ラインで人が目視検査していた工程を、ディープラーニング技術を用いて自動化することにより大幅な省力化を実現するシステムである。
「AISI∀-AD」のディープラーニング技術は、MicrosoftのAzureを利用した学習環境によって、異常・正常を見分けられるAIモデルを作成する。
異常検知処理は、製造ラインに流れてくる製品をカメラで撮影し、エッジコンピュータにより高速でリアルタイムに判定する。
検査対象物や要求精度が顧客によって異なるため、個々の案件ごとにAIモデルを開発し、PoC(概念実証)を実施しながら仕様を固めていく。
PoC実施のイニシャル費用は約400万円となる。


実際の製造ラインに導入する際には、「AISI∀-AD」のライセンス費用480万円と開発費用(要件定義~導入支援、教育)1,000万円にハードウェア機器約400万円が必要となり、開発導入期間の目安は4~6ヶ月としている。
同社のERP製品の顧客は製造業向けが多く、ERP導入で蓄積した業務ノウハウやネットワークを武器に顧客開拓を進めていく戦略だ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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