[ロンドン 15日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は15日公表した月次リポートで、2023年に世界の石油需要が2%以上増加し、過去最高の日量1億0160万バレルになると予測した。ただ、原油価格の高騰と経済見通しの悪化が懸念材料だとした。
ウクライナ侵攻を巡る対ロシア制裁により、供給が制約されていると指摘。「さまざまな国際機関が最近、暗い見通しを発表しており、経済への懸念は続いている」とし、「中央銀行の引き締め政策、ドル高や金利上昇が新興国の購買力に与える影響から、見通しへのリスクはもっぱら下向きだ」との見方を示した。
23年の需要は22年と比較して日量220万バレル(2.2%)増え、新型コロナウイルスのパンデミック前の水準を上回ると予想した。
今年の石油需要増加は主に経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国が寄与しているが、23年は中国がけん引役になるとみられている。
IEAによると、中国は最近のコロナ規制により今世紀初の需要減を記録する見込み。
世界的に供給は近く需要に追いつくと指摘。「7四半期連続で在庫が大幅に減少した後、需要の伸びが鈍化し、年末にかけて世界の石油供給が増加することで世界の石油市場はバランスを取り戻すだろう」とした。
一方、ロシアへの制裁強化、中国需要の急回復、リビアでの供給停止、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の余剰生産能力が限定的なため、均衡が崩れる可能性があるとも指摘した。