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デリカフHD Research Memo(6):2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円と最高業績を目指す

発行済 2022-06-24 15:46
更新済 2022-06-24 16:01
© Reuters.
■今後の見通し

2. 第四次中期経営計画の進捗状況
2022年3月期からスタートした第四次中期経営計画「Transformation 2024」では、コロナ禍で大きく変化した市場環境において新たな食の生活様式に対応するため、デリカフーズホールディングス (TYO:3392)の強み(企業力、研究開発力、販売力、調達力)を生かしながら従前の延長線上にないビジネスモデルを構築していくことを掲げた。
基本戦略は「事業ポートフォリオの変革」「青果物流通インフラの構築」「サスティナビリティ経営の推進」となっている。


(1) 事業ポートフォリオの変革
コロナ禍で主力市場としてきた外食業界の落ち込みをカバーすべく、2021年3月期より事業ポートフォリオの変革に取り組んできた。
前述したように2022年3月期はコロナ禍に強い外食や、量販・小売、給食、中食業界での顧客開拓により、売上高が期初計画を上回るなど想定以上の成果につながったものと評価される。


2023年3月期以降は外食市場の回復も見込めることから一段の売上拡大が期待できる状況となっており、同社は採算性も勘案しながら需要の拡大に対応していく方針だ。
また、新規事業となるミールキット事業については、2024年3月期に売上高で22億円強を目指す。


販売先ポートフォリオの拡充に加えて、商品ラインナップの拡充(冷凍野菜の製造開始)による売上拡大も見込んでいる。
冷凍野菜は賞味期限が格段に伸びるためフードロス削減につながるといったメリットもあり、当面の目標として年間数億円規模の売上を目指すことにしている。


これらの取り組みにより、2024年3月期の売上高に占める外食向け(コロナ禍に強い外食含む)の比率は2021年3月期の73.8%から63%に低下し、そのほか業界向けや新規事業の比率が26.2%から37%に上昇する計画となっている。
2022年3月期には外食向けが64.0%まで低下するなど、当初の想定よりも前倒しでポートフォリオの変革が進んだ状況となっている。
今後は外食向けの売上回復も見込めることから、今の水準から外食向けの比率が大きく変化する可能性は低いと弊社では見ている。


(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。
候補地としては、需要増加が見込まれる関東地区・関西地区に加えて、直営事業所が空白地帯だった中国地区に拠点を開設する予定で、稼働時期は2025年3月期になる見通しだ。


b) 幹線物流網の強化
同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達・販売機能の強化を図っている。
今後はさらに北へのルートを伸ばす予定にしており、北海道から九州までをネットワーク化することで、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロール機能を強化していく考えだ。
配送の内製化率については2020年3月期の約3割から現状は約4割まで上昇しており、当面は現状の水準を維持していくことにしている。
保有車両台数については2022年3月期末で108台と年々増やしてきたが、2023年3月期はトラックの不足から台数も前期並みに留まる見通しとなっており、回転率を高めることで物流量の増加に対応していくことになる。


c) イノベーション・DXによる徹底した効率化の推進
AIやRPAの活用による業務の効率化を推進していく。
オンライン受発注システムの導入に続いて、在庫管理システムの高度化やBIツールの導入などを進めていく予定にしている。
新たに導入した受発注ECサイト「DELICA Connect」の利用店舗数は大口取引先を中心に250店舗超と半年前の150店舗超から順調に増加しており、業務効率の向上に寄与している。
今後も利用店舗数の拡大に取り組んでいく。
また、社内でRPAを積極的に活用していくために、若手社員を中心にした勉強会を開催しており、社員レベルでのスキルアップも図っている。


製造・物流現場におけるDXの取り組みとして、AIを搭載した自動選別装置を2022年3月期より埼玉FSセンターで試験導入している。
高い経験値が必要なトマトの検品作業の自動化を目的として実証テストを行っている。
まだ、AIの精度が実用化レベルに達していないようで、2023年3月期も精度向上に取り組んでいくことにしている。


(3) サスティナビリティ経営の推進
同社グループでは、青果物流ビジネスを通じてフードロスの低減や農業の支援に取り組み、健康社会を目指すことで持続可能な社会の実現を目指している。
また、企業として持続的な成長を実現していくために、源泉となる人財の育成に注力しており、人事制度の見直しや様々な取り組みを推進している。
従業員の定着及び育成のための施策として、契約社員の部門限定正社員への登用やパート社員の契約社員への登用、若手社員を対象とした飛び級制度※などを導入した。
また、外国人雇用を見据えた国際人財室の新設や熟練職員へのインセンティブ制度も導入している。


※主任昇格時期が入社4年目以降だったものを、能力によって2~3年で昇格できるようにした。



そのほかにも、「女性活躍推進プロジェクト」を新たに立ち上げ、女性の働き方や活躍に関する社内アンケートを実施し、様々なキャリアを持つ女性社員が集まり座談会やミーティングを開催するなどして、女性視点から職場環境の改善を提言するなどしている。
また、2022年4月には個人の幸福と会社の繁栄をつなぐ人財育成環境の構築を目的に「キャリア推進室」を新設した。
各階層の研修制度をより一層充実し、次世代リーダーを育成していくとともに、全従業員を対象とした「人財」の育成にも取り組んでいる。
階層別研修では、業務内容に関わることから人間力形成プログラムまで全160カリキュラムで構成され、1年間を通して研修を実施していく。


また、2021年12月には取締役の指名及び報酬にかかる手続きについて客観性・透明性を確保するため、「指名報酬員会」を新設してガバナンス体制の強化を図っている。


(4) 経営数値目標
経営数値目標として、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益6.5億円、ROE7.0%を掲げている。
売上高については事業ポートフォリオの変革が進んだことによって達成できる基盤を構築できたと弊社では考えている。
課題は収益性の改善にあるが、2022年3月期下期の売上高経常利益率が1.7%の水準まで回復していることや、リスク要因であった天候不順による野菜の品不足、価格高騰への対応についても、前述した長期貯蔵システムの導入等により軽減できる体制が整備されていくもの見ている。
また、減価償却費についても2024年3月期までは大きな設備投資の予定がないため、少なくとも横ばい水準が続きそうなことから、2024年3月期で経常利益率2.2%という水準も達成可能な水準と思われる。
経常利益は2015年3月期の765百万円が過去最高だったが、2024年3月期には9期ぶりに更新することになりそうだ。


事業ポートフォリオの変革により顧客基盤が一段と拡充したことで売上高の成長ポテンシャルは高まっており、また、ミールキット事業等の新規事業を育成していくことで、同社の業績は2025年3月期以降も着実な成長を続けていくものと弊社では予想している。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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