■今後の見通し
1. 2023年3月期の業績見通し
コニシ (TYO:4956)の2023年3月期の業績は、売上高122,000百万円(前期比7.3%増)、営業利益6,950百万円(同4.8%減)、経常利益7,250百万円(同7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9,600百万円(同86.9%増)が予想されている。
親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増となるのは、2023年3月期第2四半期に固定資産売却益7,176百万円(税引後:4,986百万円)を特別利益として計上する見込みとなっているためである。
なお2023年3月期予想に当たっては、原材料価格について国産ナフサ価格を85,000円/kl(前期実績56,600円/kl)※と想定している。
※同社の場合、直接ナフサを使用するわけではないが、ナフサ価格に連動する原材料が多いため、参考値として記載。
セグメント別では、主力の「ボンド」の需要は引き続き堅調に推移すると予想し、増収を見込んでいるものの、原材料価格高騰の影響を受けるため減益予想としている。
「化成品」は堅調に推移すると予想されることから増収増益の見込みとなっている。
「工事事業」では土木関係の需要が堅調に推移すると予想され、増収増益の予想となるも、資材価格の高騰が予想されるため利益率は低下する見込みである。
設備投資額は3,598百万円、減価償却費は2,057百万円の見込みとなっている。
主な投資として、水性製造所新設(栃木工場)、新基幹システムの導入、子会社ボンドエンジニアリング(株)の東京支店開設へ振り向けることを予定している。
年間配当は「ボンド発売70周年記念配当」5円を含めて年間49円配とする見込みだ。
2. 2023年3月期の主な取り組み
(1) ボンド
「新規分野」 「シェアの低い分野」へ営業強化を図り、 接着剤市場での事業領域拡大を目指す。
新規開拓に特化した部門「市場開拓部」を新設した。
a) 電材分野
引き続き、電子・電機部品、自動車分野向けの製品開発を一段と推進する。
b) 建材分野
この分野では、高い市場シェアを占めている製品も多いとしているが、同社のシェアが低い製品も多い。
そのため、売上目標を持たない「市場開拓部」が、集成材を中心とした新規開拓営業を強化する。
c) 紙関連分野
紙関連用途の中でもシェア率の低い業界向け製品のラインナップを充実させる。
(2) 化成品
同社は「メーカー機能を併せ持った商社」を目指し、新しい技術・商材の開発を推進している。
具体的な施策は以下のとおり。
a) 自社製品の開発を進め、利益率向上を図る
・材料科学研究所(2017年設立)との連携をさらに強化し、 放熱・高耐熱樹脂等の製品開発を推進する。
・車載用途向け封止材、塗料業界向け中間原料などの自社開発製品の市場導入を図る。
b) 「新規商材、新規顧客の開拓」を継続して強化
自動車、電子・電機、化学工業を中心とした成長分野への営業を強化し、新たなテーマを発掘する。
また丸安産業(連結子会社)と協業し、仕入れ・販売の機会を増やす。
(3) 工事事業
a) 利益率の向上
高利益工事の受注拡大、元請工事比率の向上により利益率向上を目指す。
グループ連携を強化し、社会インフラ(道路・鉄道・橋梁)の 補修・改修工事の取り込みをさらに推進する。
b) 雇用確保の推進
有資格者の採用を強化し、増員を図る。
また、社内育成の推進によりスキルアップ及び資格取得の奨励を行う。
これにより、 人材不足の課題解消を推進し、事業拡大を継続する。
c) M&Aによる事業拡大
「土木建設工事」等に関連する企業のM&Aを積極的に実施する。
(4) その他
a) 栃木工場内に「水性形接着剤」の新製造所建設(2025年3月期完成予定)
将来のコニシグループの生産モデルとなる製造所を構築する。
自動化・省力化設備を導入し、コスト競争力を強化する。
水性形接着剤の東西2拠点生産により輸送コストを削減するねらいもある。
b) 新基幹システムの導入検討(2025年3月期稼働予定)
既存システムの問題点を見直し、実用性が高く作業効率が向上するシステムを構築する。
c) 「サステナビリティ推進委員会」の設置
サステナビリティ経営を推進。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示に向けた検討を行う。
ESG活動を推進し、持続可能な社会への貢献と持続的な企業価値向上につなげていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
1. 2023年3月期の業績見通し
コニシ (TYO:4956)の2023年3月期の業績は、売上高122,000百万円(前期比7.3%増)、営業利益6,950百万円(同4.8%減)、経常利益7,250百万円(同7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9,600百万円(同86.9%増)が予想されている。
親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増となるのは、2023年3月期第2四半期に固定資産売却益7,176百万円(税引後:4,986百万円)を特別利益として計上する見込みとなっているためである。
なお2023年3月期予想に当たっては、原材料価格について国産ナフサ価格を85,000円/kl(前期実績56,600円/kl)※と想定している。
※同社の場合、直接ナフサを使用するわけではないが、ナフサ価格に連動する原材料が多いため、参考値として記載。
セグメント別では、主力の「ボンド」の需要は引き続き堅調に推移すると予想し、増収を見込んでいるものの、原材料価格高騰の影響を受けるため減益予想としている。
「化成品」は堅調に推移すると予想されることから増収増益の見込みとなっている。
「工事事業」では土木関係の需要が堅調に推移すると予想され、増収増益の予想となるも、資材価格の高騰が予想されるため利益率は低下する見込みである。
設備投資額は3,598百万円、減価償却費は2,057百万円の見込みとなっている。
主な投資として、水性製造所新設(栃木工場)、新基幹システムの導入、子会社ボンドエンジニアリング(株)の東京支店開設へ振り向けることを予定している。
年間配当は「ボンド発売70周年記念配当」5円を含めて年間49円配とする見込みだ。
2. 2023年3月期の主な取り組み
(1) ボンド
「新規分野」 「シェアの低い分野」へ営業強化を図り、 接着剤市場での事業領域拡大を目指す。
新規開拓に特化した部門「市場開拓部」を新設した。
a) 電材分野
引き続き、電子・電機部品、自動車分野向けの製品開発を一段と推進する。
b) 建材分野
この分野では、高い市場シェアを占めている製品も多いとしているが、同社のシェアが低い製品も多い。
そのため、売上目標を持たない「市場開拓部」が、集成材を中心とした新規開拓営業を強化する。
c) 紙関連分野
紙関連用途の中でもシェア率の低い業界向け製品のラインナップを充実させる。
(2) 化成品
同社は「メーカー機能を併せ持った商社」を目指し、新しい技術・商材の開発を推進している。
具体的な施策は以下のとおり。
a) 自社製品の開発を進め、利益率向上を図る
・材料科学研究所(2017年設立)との連携をさらに強化し、 放熱・高耐熱樹脂等の製品開発を推進する。
・車載用途向け封止材、塗料業界向け中間原料などの自社開発製品の市場導入を図る。
b) 「新規商材、新規顧客の開拓」を継続して強化
自動車、電子・電機、化学工業を中心とした成長分野への営業を強化し、新たなテーマを発掘する。
また丸安産業(連結子会社)と協業し、仕入れ・販売の機会を増やす。
(3) 工事事業
a) 利益率の向上
高利益工事の受注拡大、元請工事比率の向上により利益率向上を目指す。
グループ連携を強化し、社会インフラ(道路・鉄道・橋梁)の 補修・改修工事の取り込みをさらに推進する。
b) 雇用確保の推進
有資格者の採用を強化し、増員を図る。
また、社内育成の推進によりスキルアップ及び資格取得の奨励を行う。
これにより、 人材不足の課題解消を推進し、事業拡大を継続する。
c) M&Aによる事業拡大
「土木建設工事」等に関連する企業のM&Aを積極的に実施する。
(4) その他
a) 栃木工場内に「水性形接着剤」の新製造所建設(2025年3月期完成予定)
将来のコニシグループの生産モデルとなる製造所を構築する。
自動化・省力化設備を導入し、コスト競争力を強化する。
水性形接着剤の東西2拠点生産により輸送コストを削減するねらいもある。
b) 新基幹システムの導入検討(2025年3月期稼働予定)
既存システムの問題点を見直し、実用性が高く作業効率が向上するシステムを構築する。
c) 「サステナビリティ推進委員会」の設置
サステナビリティ経営を推進。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)開示に向けた検討を行う。
ESG活動を推進し、持続可能な社会への貢献と持続的な企業価値向上につなげていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)