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チノー Research Memo(1):自動車や電子部品分野等での生産活動回復による設備投資の増加で増収達成

発行済 2022-06-29 15:31
更新済 2022-06-29 15:45
© Reuters.
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■要約

チノー (TYO:6850)は、温度を中心とした計測・制御・監視を通し、「温度」というキーワードによって様々な産業分野の発展に貢献している企業である。
同社の事業は同社およびグループ会社12社によって主に計測制御機器、計装システム、センサその他の4セグメントに分類される。
計測・制御・監視というループソリューションを確立していることが特長であり、この点において競合企業が見当たらないことが同社の強みとなっている。
売上の上位を占めているのは電子部品や半導体、自動車・航空機関連分野が挙げられるが、その他にも鉄鋼・金属、エネルギー、医療・医薬、食品、農業のように温度は様々な産業の現場で管理されるため、同社の温度管理ソリューションが利用されている。
特に、厳しい温度管理が求められる医療や医薬分野も手掛けており、ワクチンや血液、血液製剤の輸送・保管においても活用されている。
さらに、国際的に注目されている脱炭素化に向けた水素関連事業にも取り組んでおり、製品ラインナップには燃料電池評価試験装置や水電解(水素製造)評価装置なども揃えている。
このように、事業内容が足元で需要の強い分野に対応している点も同社の強みと言えるだろう。
なお、2022年4月に実施された新市場区分への移行に伴い、東証プライム市場に移行した。
経過措置適用中であるが、2022年3月末時点においてはプライム上場基準を充たしている模様である。


1. 2022年3月期業績の概要
2022年3月期の受注高は主に自動車や電子部品分野等での生産活動回復による設備投資の増加により前期比24.3%増の25,557百万円と増収となり、売上高で同3.9%増の21,908百万円となった。
利益面については、営業利益が同32.0%増の1,499百万円となった。
増益の要因は、計測制御機器及びセンサの需要回復による売上高の増加及び原価率改善などが挙げられる。
親会社株主に帰属する当期純利益は、同18.5%減の1,050百万円となった。
これは前期に明陽電機(株)の連結子会社化に伴う特別利益として負ののれん発生益557百万円を計上した反動減によるものであるため、同社業績については堅調に推移していると考えられる。


2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績見通しについては、売上高で前期比6.3%増の23,300百万円、営業利益で同3.4%増の1,550百万円、経常利益で同3.2%増の1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.7%増の1,100百万円、EPSは129.89円としている。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)から社会・経済活動が再開しつつあり、主要顧客(自動車・電子部品関連)と脱炭素社会実現に向けた水素関連分野の需要は今後も回復傾向が見込まれる。
一方で、急激な需要増によるサプライチェーンの混乱などに端を発する部材不足が生産活動に与える影響は依然として不透明な部分があり、営業利益としては前期比3.4%増と保守的な予想になっていると言えるだろう。
同社の製品群は多種多様な業界において重要である「温度」に関するものであり、特に医薬品輸送・管理、IoT、脱炭素実現のための水素分野など今後需要が高まる分野においても貢献することができる。
中期経営計画も順調に進捗しており、2023年3月期の業績予想達成の可能性は高いと弊社では分析している。


3. 成長戦略及び中期経営計画とその現状
2027年3月期までの中期経営計画においては、売上高で30,000百万円、営業利益で2,700百万円、ROEで10%、ROAで8%という目標を設定している。
これら数値に関しては、2022年3月期以降の取り組みや半導体及び水素関連など成長分野への積極的な投資と経営基盤強化等に取り組んでいくことから、数値目標達成への期待が高まっている。


■Key Points
・ -270℃から3,500℃までの広範な温度を高い計測・制御・監視技術で管理するグローバルエキスパート企業
・ 自動車や電子部品分野等での生産活動回復による設備投資の増加、計測制御機器の海外需要伸長で増収達成
・ 今後は半導体や水素関連など成長分野への積極的な投資と経営基盤強化でさらなる業績拡大へ期待が高まる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)


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