[26日 ロイター] - イスラエルの製薬会社テバ・ファーマシューティカルズは26日、米国での医療用麻薬鎮痛剤「オピオイド」中毒まん延で多くの州や自治体が参加する訴訟を起こされていた問題を巡り、総額43億5000万ドル規模の和解提案に基本的に合意を得られる運びになったと発表した。
テバの最新和解案に基づくと、テバは向こう13年で最大37億ドルの現金を支払うとともに、オピオイド拮抗薬12億ドル相当を提供する。州や自治体は拮抗薬を定価の一定以上の割合に相当する現金で受け取ることもできる。先住民のコミュニティーに別途約1億ドルも支払われる。
米国の州や市や郡はオピオイド禍を巡り、メーカーや卸売業者や薬局チェーンなどに合計で3000を超える訴訟を提起してきた。中毒リスクを軽視し、オピオイドが広く出回って違法使用されるのを怠ったと主張してきた。テバはこれに対し、同社は不適切な行為はしておらず、あくまで承認された鎮痛剤を合法に販売したたけだと反論してきた。
同社は2019年に現金部分をごく少なくし、原価の安い拮抗薬の現物をより多く提供する案を提示し、州や自治体は拒否。カーレ・シュルツ最高経営責任者(CEO)は今年5月、現金部分を約26億ドルとする案で合意できそうだとの見方を示していたが、今回の案では現金額をさらに多くした。同氏は「大筋で全米レベルの合意に達せることは喜ばしい」とコメントした。
和解協議で州側を主導したアイオワ州のミラー司法長官は「オピオイド禍解決に向けた新しい重要な一歩だ」とし、和解金がオピオイド過剰摂取の阻止や中毒治療に大きく貢献するとの見解を示した。
テバは16年にアッヴィ傘下のアラガンから後発薬部門を買収しており、今回の和解が最終的に発効するにはアラガンが自社へのオピオイド全米訴訟で和解を取り付け、さらにアラガンが16年以前の自社のオピオイド販売分を巡るテバへの責任金額を決着させることが必要になる。今回の和解案の条件について、訴訟に参加した州や自治体のうち一定上の参加者が受け入れることも成立確定の要件となる。