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平和RE Research Memo(5):「着実な成長」と「持続可能な利益」により、投資口の流動性向上を推進

発行済 2022-08-08 15:05
更新済 2022-08-08 15:15
© Reuters.

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■中長期の成長戦略

1. 中長期目標「NEXT VISION」
平和不動産リート投資法人 (TYO:8966)では、2021年11月期より中長期目標「NEXT VISION」を推進している。
具体的には、今後5~10年で目指す姿を「投資口の流動性向上を推進するステージ」と位置付け、「Steady Growth & Sustainable Profit(着実な成長と持続可能な利益)」をスローガンに、従来からの分配金と資産規模に加えて、格付とESGを目標に加えた。
数値目標としては、分配金3,300円/口(2021年5月期比500円増)、資産規模3,000億円(同1,159億円増)、AA格への格上げ、再生可能エネルギー電力の導入割合100%の達成を目指す。
進捗状況としては、資産規模拡大と財務体質改善により2022年6月に格付けがAA-に向上し、目標を達成したほか、再生可能エネルギー電力への移行についても2021年11月に対象106物件すべてについての切り替え手続きを完了した。
このほか、分配金は3,050円/口(2022年5月期)、資産規模は1,963億円(同)と着実に成果を上げている。
なお、分配金向上については、外部成長で+200円/口、内部成長で+165円/口、金利費用で-22円/口の成長余地を見込むが、潤沢な内部留保を活用することで+5,099円/口の支払余地があることが同REITの大きな強みと言えよう。


2. 外部成長戦略
外部成長戦略では、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「厳選された用途・エリア」を運用方針とする。
「着実かつ健全な外部成長」としては、ポートフォリオの質と収益性の向上に資する物件に厳選投資し、スポンサーと協働することで開発など多様な手法による取得機会の拡大を図ることに加え、フリーキャッシュ及び借入余力を活用した機動的な物件取得を行う。
「継続的な入替戦略の実施」としては、低収益物件、小規模レジデンスを優良なオフィスやレジデンスに入替するなど、引き続きポートフォリオの収益力改善を図る。
「厳選された用途・エリア」としては、優良なオフィス及びレジデンス双方への厳選投資や、東京都区部をメインエリアとしながらもスポンサー・サポートが得られる地方大都市にも厳選投資する方針だ。
実際、スポンサー・サポートを活用した普通借地開発では、スポンサーである平和不動産との協業により、借地権のデメリットを克服し、メリットを最大限に享受できるスキームを構築している。
なお、既述のとおり2022年6月に2年連続となる公募増資を実施しており、資産規模の増加と共にDPU及びNAVの成長を図り、併せてLTVを引き下げることでレバレッジを活用した成長余力の確保を行った。


3. 内部成長戦略
内部成長戦略では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「戦略的な資本投下」「付帯収入増加と費用削減」を運用方針とする。
「高稼働率の維持・向上」としては、スポンサーやPM(プロパティ・マネジメント)会社と連携し適切かつタイムリーなリーシング施策の実施によるテナント需要の取り込み、良質な運営・管理、CS(顧客満足度)対応施策によるテナント退去の防止、ダウンタイム(空室期間)の短縮などを目指す。
「賃料増額に向けた取り組み」としては、テナント入替時及び契約更改時における賃料増額や是正を推進する。
2022年11月期初の賃料ギャップは-5.64%と過去最高を更新しており、今後の賃料増額改定が期待できる。
「戦略的な資本投下」としては、物件競争力、収益性及びCS向上につながるバリューアップ工事を計画的に実施する計画だ。
足下ではオフィス及びレジデンスともに稼働率はコロナ禍前の水準に回復しており、影響は軽微にとどまっていると言えよう。


4. 財務戦略
財務戦略では、「財務基盤の強化」「適切なLTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの低減」を運用方針とする。
「財務基盤の強化」としては、有利子負債の長期化、固定化及び満期の分散化を進めることで市場金利変動の影響を受けにくい財務基盤を構築することに加え、AA格への格上げによる信用力改善と長期安定投資家の拡大を目指す。
なお、格上げにより、日本銀行、地域金融機関など幅広い投資家層への訴求力の向上、投資口の流動性改善、投資口価格への好影響が期待される。
「適切なLTVコントロール」では、金融環境に左右されない安定した物件取得、ポートフォリオと収益の持続的な拡大を図る。
なお、同REITでは健全な財務体質を維持するため、安定した償還構造と十分な手元流動性を推進している。
2022年11月期以降は金利の高い借入金の満期が到来し、リファイナンス及び新規借り入れによって借入金利の減少を見込んでいる。
また、安定した借入金の償還スケジュール(平均67.5億円/期)を構築しており、十分なコミットメントラインと手元現金(合計141億円)で不測の事態に備えている。


5. サステナビリティ
サステナビリティについては、Environment(環境活動)への取り組みとして、再生可能エネルギー電力の導入割合100%を「NEXT VISION」の1つに掲げている。
保有するすべての物件で使用する電力を再生可能エネルギー由来に切り替えることを目指し、2021年11月期末に対象106物件すべてについて切り替え手続きを完了している(2022年5月期に取得した物件についても切り替え手続き完了済み)。
また、同REITの資産運用会社である平和不動産アセットマネジメントは、2021年12月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に対する賛同を表明した。
TCFDは、民間主導による気候関連財務情報の開示に関するタスクフォースであり、同REIT及び平和不動産アセットマネジメントでは、気候変動に関するリスクと機会への対応や気候関連課題への事業・戦略のレジリエンス(強靭性・回復力)に取り組んでいくため、TCFDが提言する情報開示フレームワークに即した開示を目指す方針だ。


これに加え、地域社会との共働、ガバナンス強化、ESGレポートの発行と開示情報の拡充、壁面緑化の推進などにも取り組んでいる。
なお、2021年に実施されたGRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク:Global Real Estate Sustainability Benchmark)リアルエステイト評価において、同REITは5年連続で「Green Star」の評価を取得している。
同様に、(株)日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証、(一財)建築環境・省エネルギー機構のCASBEE認証、(一社)住宅性能評価・表示協会のBELS評価も取得している。
これらのサステナビリティへの積極的な取り組みは、ESG投資(ESGに配慮している企業を重視・選別して行なう投資)の世界的な拡大傾向に対応する動きと考えられる。


弊社では、同REITが特化する東京都区部をメインとする市場は投資機会が豊富にあることから、今後も同REITの潜在的な成長力は高いと評価する。
東京都区部では、主なテナント層である中小規模の事業所数が集中し、オフィスビルに対して引き続き豊富な需要がある。
また、東京都では2021年はコロナ禍に伴うテレワーク普及などにより25年ぶりに人口減少に転じたが、コロナ禍が収束すれば再び人口増加傾向となることが予想され、居住用マンションについても堅調な需要が見込まれる。
また、強力なスポンサー・サポートの活用によって、着実な成長戦略の推進が可能と考える。
すなわち、平和不動産の保有・開発物件、仲介物件、先行取得物件等の情報ソースを活用したり(外部成長サポート)、情報の共有化によって稼働率の向上を図ったり(内部成長サポート)、財務方針、資金調達等のかかる支援や指導を仰ぐこと(財務サポート)ができることが、同REITの大きな強みと言えよう。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)


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