[オスロ 20日 ロイター] - 運用資産が1兆2000億ドルと世界最大を誇るノルウェー政府系ファンドは20日、気候変動対策の国際的枠組みである「パリ協定」に沿って2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロ(ネットゼロ)を目指すよう企業に要請することで、保有資産の脱炭素化を図ると発表した。
同ファンドを運営するノルウェー・バンク・インベストメント・マネジメント(NBIM)のニコライ・タンゲン最高経営責任者(CEO)は声明で、「気候リスクの管理方法に関して世界をリードする投資家になることが目標」と表明。
「われわれの長期的なリターンは、投資先の企業がゼロエミッション(温暖化ガス排出ゼロ)社会への移行をどのように管理するかに完全にかかっている」とした。
ノルウェー財務省は今年、同ファンドが投資先である9300社に対し、ネットゼロの目標を採用するよう働きかけるべきだと提案していた。
同ファンドは新たな計画の下で温暖化ガスの排出量が多い174社との対話を優先するほか、投資先の全ての企業に対し2050年までのネットゼロに向けた計画の策定を求める。株主総会で反対票を投じたり、動議を提出することがあるとしている。
ただ目標を達成するために排出量の多い企業の株式を売却することはないと改めて表明。変化を促すため「積極的な株主」であり続けると述べた。
同CEOは「排出量を削減する簡単な方法は売却だが、誰かがそうした企業を保有しなければならず、売却しても問題は解決しない」と述べた。