[27日 ロイター] - イエレン米財務長官は27日のノースカロライナ州での講演草稿で、地球温暖化関連の災害発生がサプライチェーン問題を悪化させて米経済の生産性を損ない、州や自治体の財源も奪われる状況が強まっていると警告した。そうしたリスクの解決に向けクリーンエネルギー経済への移行を加速させることが欠かせないと訴えた。
イエレン氏は「生産性が短期的に急激に落ち込む被害が生じている。これは物価上昇にもつながり得る」と指摘。「数十年前には考えられもしなかったショックが今や、懸念すべき頻度で発生している」とも強調。5年間で見た数十億ドル規模の災害被害の年間発生件数が1980年代に比べ、インフレ調整ベースでさえ、少なくとも5倍に増えているとした。
同氏は、しつこく頻繁に襲う気象上のショックのせいで財政的な災害救済の需要が増すことになり、本来なら気候変動問題の解決に向けなければならない国の資金が減ってしまうとも指摘。「州や自治体も、不足しがちな財源を災害支援に振り向けるのをどんどん余儀なくされる可能性があり、その代償で教育や労働者訓練などの投資が手薄になる恐れがある」とした。災害の経済成長への悪影響が長く続き、多くは完全に回復できないままになる実例は枚挙にいとまがないとも訴えた。
バイデン米大統領が8月成立させた「インフレ抑制法」に盛り込まれた太陽光や風力発電向け税優遇措置の拡大などについては、財務省が数週間内に幅広い関係者を集め一連の会合を主催し、こうした税優遇措置をどう遂行するかを話し合っていくとした。