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Iスペース Research Memo(9):成長シナリオの蓋然性が高まれば、EV/EBITDA倍率も再評価される可能性

発行済 2022-12-01 16:49
更新済 2022-12-01 17:00
© Reuters.
■同業他社比較

アフィリエイト運営会社の大手はインタースペース (TYO:2122)のほかファンコミュニケーションズ、アドウェイズ、バリューコマース、リンクシェア・ジャパン(株)(楽天グループ (TYO:4755)の子会社)、レントラックの5社が挙げられる。
売上高の規模はその他の事業も展開しているため各社ばらつきがあるものの、同社も含めた6社合計のアフィリエイトサービスにおける業界シェアは約6割、うち同社は1割弱のシェアと見られる。


同業他社の特徴について見ると、ファンコミュニケーションズは2022年9月時点で「A8.net」のパートナーサイト数が約317万サイト、稼働広告主ID数が3,314件と、パートナーサイト数では業界最大規模となっている。
中小企業向け広告ビジネスを長く提供しており、EC分野の比率が比較的高いことが特徴だ。
業績面では、ここ数年スマートフォン向け広告サービス「nend」の事業縮小やコロナ禍の影響もあり減収減益基調が続いていたが、2023年12月期は広告主数の増加により取扱高も回復に転じており、営業利益で前期比3.9%増と7期ぶりの増益に転じる見通しとなっている。


アドウェイズはモバイル向け比率が7割弱(対国内広告売上高)と高く、ゲームや電子コミック系に強みを持つ。
特に、ここ数年は機械学習によるスマートフォン向けアドネットワーク広告配信サービス「UNICORN」の売上が成長しており、収益を伸ばしている。
損失が続いていた海外事業についても、2021年12月期に黒字化した。
2022年12月期第3四半期累計業績は「UNICORN」が順調に伸びたほか、アフィリエイト広告も金融、電子コミック系が伸長し、堅調な推移となった。
2022年12月期通期見通しについても前期が9ヶ月変則決算のため伸び率は不明なものの、おおむね会社計画どおりに推移するものと予想される。


バリューコマースは順調に業績を拡大している。
2022年12月期第3四半期累計では、マーケティングソリューションズ事業(アフィリエイトサービス)が1ケタ台の増収増益、ECソリューションズ事業が10%台の増収増益となり、全体でも10%台の増収増益となった。
マーケティングソリューションズ事業の業種別売上構成比は金融分野が4割と最も高く、そのほかは幅広い業種をバランスよく手掛けているのが特徴だ。
金融分野が伸びているほか、低迷していた旅行分野も回復傾向となっている。
パートナーサイト数は77万サイト、広告主数(ID数)は1,167件と前年同期からそれぞれ1ケタ増となっており、2022年12月期業績も会社計画どおり2ケタ増収増益が続く見通しだ。


レントラックスについては、2023年3月期第2四半期累計業績が売上高で前年同期比41.0%増、営業利益で同41.7%増と大幅増収増益となった。
規模がまだ小さいこともあるが、売上高の6割弱を占める成果報酬型広告サービス事業(アフィリエイトサービス)が売上高で同17.7%増と好調に推移し、収益のけん引役となっている。
カテゴリー別構成比(2022年3月期)で見ると、金融が41.0%と最も高く、次いで不動産関連が14.4%、転職求人が7.0%と続く。
2023年3月期は、カードローンなど金融案件が好調で、通期業績を2022年10月に上方修正した。
営業利益は1,114百万円を見込んでいるが、2020年3月期が179百万円だったことからすると3年で7倍に成長することになり、成長率で見ると5社のなかではバリューコマースと並んでトップクラスとなる。


一方、株価指標について見ると、同社の株価(2022年11月15日終値)は2023年9月期の予想PERで8.3倍、EV/EBITDAで0.47倍と大手4社のなかでもっとも低い評価となっている。
EV/EBITDAとは企業を買収する場合に、買収コスト(時価総額+有利子負債−現金及び預金・有価証券)を期間収益(営業利益+償却費)の何年分で回収できるかを簡易的に指標化したものとなり、倍率が低いほど買収コストを短期間で回収できることを意味している(=時価総額が過小に評価)。
これらの株価指標が低いと言うことは、株式市場での成長期待が低いことの裏返しでもあるとも言える。
実際、アドウェイズやレントラックスはコロナ禍以降、収益を拡大しており、EV/EBITDAも6倍台の評価となっている。
また、同社の2023年9月期の営業利益が前期比3.0%増の計画で、最も低い成長率(変則決算のアドウェイズを除く)となっていることも一因と見られる。


とは言え、同社においては2023年9月期の営業利益が6期ぶりに過去最高を更新する見通しであり、当時の株価水準が2,000円台で推移していたことを考えれば過小評価の感が否めない。
弊社では、インターネット広告事業における海外事業の収益化、メディア運営事業における「ママスタ」に続く収益柱となるメディアや課金型収益モデルの育成など、中期的に成長シナリオを描ける蓋然性が高まってくれば、株式市場での評価も変わってくるものと考えている。
2023年9月期はこうした成長基盤を構築するための投資を行うなど過渡期となるが、成長の芽は見え始めており、今後の展開に注目したい。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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